Lewis

モアナと伝説の海のLewisのレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
4.3
何度かうるっとしちゃった。良かった。
とっても王道そうにみえて、先駆的。大多数の人種には関係ないと思わせる南国の話で、誰もが楽しめるタッチの作りなのに、しっかり風刺を入れてくる感じは、もうディズニーの十八番、得意技として定着したのでしょうか。脱帽です。

ヒトの長い歴史の中で、
男がマンモスなりケモノを狩り家族を養って来た時代は長かった。
その後コミュニティができ、村や国が作られ、男の長の時代も長かった。

長いヒトの歴史からみると、男女平等が謳われ、社会で女性が管理職やトップ、長になるという歴史は本当にごく最近の事、歴史は浅い。まだ始まったばかり。
そこで、モアナに課せられた村長の役割。モアナが率先してみせてくれる。現代の私たち女の葛藤を。

女性として、人としての成長過程をみせてくれる。
両親のもと愛されて育ち。地元を離れないで、仕事はこれをやって、という一方的な親の期待、呪いのような縛りつける言葉。反して、大きくなる好奇心や、興味、挑戦心、自立心。

メンターの支援もあり、行動に移つことができる幸運。

外で自分を知り、男勝りなほど技術や知識を学び。嫌な顔ひとつせず、他人(本作ではヒーロー気取りの男)がやらかした失態の尻拭いをする、優しさを持って。そして、成長した自分に誇りを持って、自分の意思で地元に帰ってくる。その頃には、役割と、やりたいことがイコールになっていて、自分がそれほどの器の人間に育っている。

神話も絡めたストーリーがさらに素敵だった。女性って生命の源的な神秘があるよね。モアナとテフィティが通じてるシーンも信仰的で良かった。

歌も良かった、気持ちが乗りやすい伸びやかな曲だった。作中何回もかかるからさらに嬉しい。

ラストも石積みの上に積まれたものがまた気が利いてて、女性的じゃないか。

とても素敵な作品でした。

村が抱える課題も、今の地球を模している。男が作り上げてきた文明、産業の成長の対価としての自然破壊、環境汚染の問題を、これからは働く女たちが対応策を考え、守っていかなければならないのかもしれない。

以下蛇足。
そもそも能力的に、女は全てそつなくオールマイティー、しかも我慢強くて真面目。出来る出来ないのバラツキや差が激しいのが男。

モアナのような女性が新たな役割をもち、悩み、成長していく姿がみたい。そして、その次は、女性には敵わないかなんて思った男性がこの男女平等の世の中でどうあるべきか?どう活躍するのか?そんな映画をもみせて欲しいな、なんて思ったり。

南の島国のバカンスまでの機内で視聴しました。タイミングバッチリすぎて、心身が洗われました。
Lewis

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