ギルド

救いの接吻のギルドのレビュー・感想・評価

救いの接吻(1989年製作の映画)
3.9
うわぁ・・・この構図、映像が良いなぁ。
監督自身と監督の家族が登場する愛と家族のホームドラマ。
予告編の海辺で三輪車を漕ぐ息子と息子を追う夫婦のシーンが凄く良かったけど、映画の世界と現実の世界が入り混じった不思議な世界観が実家にいるような安心感を味わえました。
それをサックスのアンサンブルと現実味のあるストーリーをカモフラージュして映画であることを明示するかのようなモノクロ映像で撮るところも粋な演出で、好みなタイプです。

 監督自身が父親兼映画監督として、女優である妻をモデルにしたキャストを妻ではなく別の女優に任せることに糾弾するというサドな設定も面白くて、監督も妻も息子も本当の家庭が演じてるだけあって一つ一つの演技が味わい深い一作でした。それを感じた家族の観光するシーンはフロリダ・プロジェクトのような自然さが味わえたし、映画のキャスティングに関わる題材にちなんだ駅のホームのシーンはシリアスだけどどこか面白くて、その塩梅が心地良かったです!

 男女の恋愛の価値観の違いや家族愛にフォーカスを当てているフランス映画らしい映画だけど、それを映画のメタ的な構造で伝えたり長回しとカメラのズームで魅せる地に足のついた感じが映像面での潤沢さを引き上げていて良かったです。
途中から現実と虚構の世界が混同したり、咀嚼しきれていない部分はあるけど個人的には新鮮かつ素敵な映画体験がまた一つ出来た作品に出会えました。

 フィリップ・ガレル監督の中期代表作で2作ピックアップで公開されていて、もう一作の「ギターはもう聞こえない」も近いうちに見ようと思います。やってる映画館が物凄く少ないし、あまり話題になってないけど個人的には探して見る価値が大いにある映画だと思います。

家族愛、人間の愛をフォーカスした作品を見たい人にはオススメできる作品だと思います。
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