ろ

救いの接吻のろのレビュー・感想・評価

救いの接吻(1989年製作の映画)
5.0

「あなたは彼との間に子どもがいるじゃない。」
「でもあなたは彼と映画を生むでしょ。そんなの許せないわ。」


映画監督の夫が自分をモデルにした役を他の人に演じさせる、そのことを妻であり女優のジャンヌは激しく詰る。
「愛するだけじゃなくて、愛されるなのよ愛は。あなたは私の愛を、みんなに見せたくないの?」
妻の情熱的な言葉に黙り込むばかり、時折「分からないよ・・・」と相槌を打つ。

役を引き受けた女優を訪ねるジャンヌ。
平行線をたどる会話。二人は交互に窓を開けたり閉めたりしている。
「あなたから夫に役を降りると伝えてよ。」
「いいえ、妻のあなたから話してちょうだい。」
「じゃあ私にお願いして。役を譲ってと。」

息子のルイはシンクに水をためている。
そこに浮かぶ二隻の舟。
一艘を沈ませたり浮かばせたり、もう一艘に近づけたりしている。
それはまるで、愛を求めてもがく母親のようで。


どこまでも続く愛の対話。
寂しさも妬みも喜びもそして映画も、すべては愛から生まれる。

「映画の中でも“あなた”に“わたし”は愛されたいの。」







( ..)φ

ジャズの音楽とモノクロの映像が最高にかっこいい。オシャレ・パンチが炸裂してる。
特に、予告編で使われていたボート越しの三人(ルイは三輪車を漕いでいる、雨の中)のシーンはめちゃくちゃ好きだった。
角を曲がって、水たまりにスリップして、おっとっとって体勢を整えるルイ。
ルイのレインコートは黄色かなと頭の中で色を付けた。
ろ