ダンクシー

さらば、愛の言葉よのダンクシーのレビュー・感想・評価

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)
3.2
「想像力を欠くすべての人は現実へと逃避する。考えないということが思考に悪影響を及ぼすかどうかは分からない」

芸術映画、アート。いわゆるモンタージュ。1時間弱だからまだ観ていられたが、これ以上長かったら限界かも。ゴダールの愛犬のロクシーがカンヌ国際映画祭にて第14回パルムドッグ審査員特別賞を受賞している。

ブツ切りの映像と音楽を並べ、著名人の言葉を引用しまくって作られている。分かりそうって思えそうなところで毎回途切れて違う映像になるから、掴みどころがないというか。物語のあらすじをサイトで読んでも、本編を観るとあまり分からない。恐らく、男女の物語をちゃんと描く気などハナからないのだろう。解体された物語を反復して描いていた。正直、裸と犬しか頭に残ってない。

「日は差しても川がまだ朝霧の夢に眠る時我々に川は見えない。ここはすでに川だ。だが視界は遮られる。見えるのは虚無と遠くを阻む霧ばかりだ。この箇所には見えるものを描いてはいない。だが見えないものを描いているのでもない。見えないことを描く。クロード・モネ」

3Dで撮られたのも、観客に混乱を与えるため。統一感のないバラバラの映像で頭を錯乱状態にさせる。スロー、反転、ダッチアングル、などなど演出技法も多用。物語は二重化させ、映像はニュースや戦争映像、犬の映画や自然の映像や古い映像などのカットを多く挟み込み、そこに音楽、街や自然の音、役者のセリフなどが流れる。視覚的体験は刺激的でかつ斬新なのだが、観ていて決して気持ちよくはならい。それぞれのイメージを繋がせることすらもさせてくれない。

挑戦的すぎるゴダールの作品。冒頭のセリフは、まるで理解できない我々観客をディスっているかのようで少々悔しい。。
映像センスオンリーの作品と言ったところかな。
ダンクシー

ダンクシー