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チェンナイ・エクスプレス 愛と勇気のヒーロー誕生のBaadのレビュー・感想・評価

3.9
大阪での劇場公開、多分見る時間がないだろうということで、待ちきれずにDVDレンタルで見てしまいました。

いろいろとポイントはありますが、

1.まずはお定まりの王道ストーリーを上手に持たせる熟練の技に乾杯

2.そして、シャー・ルクとディーピカの並びの良さに感嘆

以上の二つのスターパワーの迫力で全てをねじ伏せた感のある作品でした。

それ以外に、多方面に目を向けた物語の合成方法も素晴らしいと思ったのですが、この辺は一部強引な部分をラジニ様に委ねて逃げたな、シャー・ルクと思ったりもしました。

お話の骨子となるネタは、『ムトゥ踊るマハラジャ』『シャー・ルク・カーンのDDLJ ラブゲット大作戦』『あなたがいてこそ』(または、そのボリウッドリメイクの『ターバン魂』)あたりを意識して借用してアレンジあるいはパロディーしているように感じましたが、ラジニへのリスペクトはやはり『ボス その男シヴァージ」で、シャー・ルクの”Phir Bhi Dil Hai Hindustani”と同じテーマを、興行的にも成功させたことのインパクトが大きかったのかな、と勝手に思ったりもしました。

で、借用の仕方があまりに堂々としているので気にならずに笑って楽しめました。この辺のさじ加減、旨いですねえ。

そういえば、2013年のボリウッドの娯楽映画、死ぬ直前の死体になる寸前のヒーローが話の始まりから語り始めてラスト直前で繋がる、というスタイルが流行していましたが、この映画はヒーローがスコップ振り回しているところから始まっていて、その辺が明るく意外性もあって好印象で技あり。

キングの貫禄でやりたい放題、緩いけど楽しい映画・・・で、その中にしっかり後に続く世代への思いやりが感じられたりするところにはなんかジンときてしまいました。

いろいろあって、セルフパロディーっぽい映画でもありましたが、ミュージカルシーンの美しさ、音楽の美しさとともに作った人の込めた想いの暖かさも感じられる作品。たいへん美味しくいただきました。

最後の演説の今更ながらの正論には驚きましたが、これ言って許されるのはキングカーンだけでしょう。インドにはいくつも言葉があるけれど、それよりも大切なのは・・・なんてセリフが似合うのはシャー・ルクしかいないかもしれない。

ただ、一つだけ気になったのはディーピカちゃん。
綺麗だけど美しさに寂しげな影があるような気がしました。

ボリウッドの女優さんって強気でネアカなイメージの方が多いですが、彼女は一味違いますね。

その辺が人気の理由でもあるのか、去年一番の売れっ子でしたが、すでに体にもお顔にもガタがきだしているヒーロー役とともにあまり無理をしないでほしいな、と思ったりもします。

(マンネリズムの料理法 2014/11/13記)
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