ガブXスカイウォーカー

真・仮面ライダー 序章のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

真・仮面ライダー 序章(1991年製作の映画)
4.0
醜怪なビジュアルの仮面ライダー、その子供を身ごもるヒロイン。ハッキリ言って『ザ・フライ』(1986年)のパクリである。
とは言え、仮面ライダーシリーズ20周年記念作品、しかもバブル時代直後だけあってそれなりに製作費をかけてあり、オリジナルビデオ作品でも劇場版なみのクォリティだ。
変身シーンも『仮面ライダーBLACK』で、南光太郎(倉田てつを)が一度バッタ怪人になってから仮面ライダーBLACKに変わる描写がちょっとあったが、本作はさらに一歩進め、主人公、風祭真(石川功久)が苦痛に顔を歪めながら肉体の変化していく過程をじっくり見せてくれる(1992年製作なのでCGは一切なし。特殊メイクのみ!)。

さらに特筆すべきは、特撮ヒーロー物は「ヒーローはどんな悪人であろうと人間は殺さない(ただしサイボーグ、宇宙人、人工生命体、ロボット、忍者などは殺す)」と言う暗黙のルールがあるのに、本作は仮面ライダーがヒロインを銃殺した悪人を惨殺する。あえてタブーを破り、バイオレンスに徹する力の入れようだ。

ドラマも、己の肉体が変化していくことに苦悩する真、サイボーグソルジャーを開発する財団、真を抹殺しようとするCIAを並行して描き、重厚で大人向けの仮面ライダーを作ろうと言うスタッフの意気込みが伝わってくる。

残念なのは主人公とヒロインの演技がまだ未熟なところである。ヒロインは死んでしまうけど、主人公の役者として、ヒーローとしての成長を続編で観たかった。

本作は最近は置いてあるレンタル店もなかなかなく観る機会も少ないが、間違いなく仮面ライダーシリーズの傑作の1本である。ぜひ特撮ファンにはこの異色作の鑑賞をお薦めしたい(ちょっと褒め過ぎ?)。