フリーランスの保険調査員が主人公。(疑り深いのが職業病)調査のため失踪した小説家を探しているうちに、ボブズ・エンドという小説上の架空の街に辿り着く。(というか、迷い込んだ。)
本を印刷しているオープニングは、「刷り込み」を連想させた。
フィクションによって、熱狂的なファンが反社会的な行動をとったりすることは、イメージできるけれど、それがなかばウイルスのように集団に感染していく展開はなんだか現代のSNS風刺っぽいって思った。
主人公の保険調査員というキャラクターがぴったり。とことん疑うのがお仕事。「他の人間は騙せても、私は騙せないぞ!」と大口を叩いた張本人が物語が進むにつれ追い詰められていく。彼の話を聞いていた博士も似た運命を辿るのかなと思わされた。
精神病棟で「おれはちがう!イカれてない!」と、みんなが同じこと叫んでいて、結局みんなイカれてるってなる。
田舎道で迷う恐怖が、田舎育ちには印象的だった。ループしちゃう演出って、あるあるだけど、だからって怖くないとは限らない。
もし、よく知ってるはずの道で迷ったりしたら、おそらく自分も正気じゃいられないかもしれない。
一番の恐怖は、カフェで語らう2人の窓越しに、斧を持った狂人が迫ってくるカットだ。まだ何も知らないから、あれの設定がまるで理解できてなくて、いったいなんなのかわからないものが迫ってる怖さがあった。