セリフはない。
あるのは瞳と造形物と営みと自然だけ。
世界20か国の美しい風物を100以上の美しいロケ地を用いて紹介する非言語ドキュメンタリーの傑作。
最初と最後のシーンである仏教寺院が出てくる。
その中で年配の僧侶が、粉を吹きかけながら美しい工芸品のようなものを作っている。
完成したそれはとても美しく、インスタグラマーたちがパシャパシャと写真を撮る音が聞こえそうな趣を放っていた。
しかし、ラストシーンで、あっけなく、そしてなんの躊躇もなく、消され、壊され、片づけられていく。
精巧に作られた造形もいつかは朽ち果てる諸行無常。
これまで見てきた風景や都市も流転する。
壮大なものを感じた。
そんな空虚な心を表現するように
最後は砂漠の風景で終わる。