イチロヲ

女獄門帖 引き裂かれた尼僧のイチロヲのレビュー・感想・評価

5.0
女郎屋から逃げ出してきた薄幸の少女(田島はるか)が、不穏な空気を漂わせている尼寺に入門する。「男憎しの尼寺」に取り込まれた少女の奮闘ぶりを描いている、ピンキー時代劇。日活ロマンポルノの端役・田島はるかが、晴れて主演を務めている。

尼寺に迷い込んだ男性視点のスラッシャーと主人公による空前絶後のリベンジ劇が、斜め上の発想の連続により見世物的に展開される。エログロ描写を妥協することなく盛り込んでおり、鈴木則文や石井輝男もびっくりのエンタメが完成されている。

田島はるかの役者スキルを十分に堪能することができるが、尼寺に従事している男(志賀勝)の白痴芝居も捨てがたい。主人公の心を射止める青年(成瀬正孝)のシークエンスにも、大笑いすることができる。

ファズギターが唸りまくるアシッド系の音楽に合わせて、演者たちがイッちゃってる状態で芝居するため、観ている側も変な脳汁が出てくる。女優が「キチガイ!」「みんな死んでしまえ!」を大声で連呼する映画は信用できる、ということを証明している逸品。
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