ろくすそるす

女獄門帖 引き裂かれた尼僧のろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

まさに、悪趣味カルト映画の決定盤。邦画史上この上なく狂っている、バッドテイストな映画の一つ。男になぶりものにされ、ギョロ目の汐路章とその子分・佐藤我次郎に追われる女(田島はるか)が「駆け込み寺」に逃げ込む。しかし、その駆け込み寺こそ、男を恨む女モンスターたちの巣窟であった。
 序盤の懇切丁寧な態度とは裏腹に、一度この地に踏み入れた男を惨殺するという猟奇集団であった寺の住人たち。殺人鎌で男の首を掻ききる庵主を筆頭に、蛇使いの女、母乳攻撃をする年増女、ざんばら栗毛で白塗りの食人男、無口な少女、先代のミイラ、などなどごてごてに戯画化された漫画のような世界観が広がっている。
 レズビアンシーン、首のない胴体がぴくぴくと震える切り株ゴア描写(本編中の白眉の一つ)、人肉の煮込み鍋、ふつふつと沼気の立ち上る沼地、とあからさまに物好きな場面が点々と散りばめられている。
 最終決戦の燃え盛るお堂の中で対決する場面は、『魔界転生』の対決を小スケールでやりながらも、なかなかの迫力を演出している。
 ラストの、かつて庵主を襲った男を撲殺した場面を回想し、少女が初潮を迎えるというのも、冒涜的路線を貫き通している点で評価できると思う。
 石井輝男監督の大大傑作『ポルノ時代劇 忘八武士道』などのスタイリッシュ・バイオレンスアクションと並び称されるコミカルでグロテスクな孤高の「ポルノバイオレンス」を展開している。牧口監督、サイコーだ。