ダイアー教授

チャッピーのダイアー教授のレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
4.1
題:D社には絶対に作れないファンタジー映画
製作:2015年、アメリカ
監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:シャールト・コプリー、デーブ・パテール、ダイ・アントワードの2人、シガニー・ウィバー、ヒュー・ジャックマン

『第9地区』で脚光を浴びた南アフリカのニール・ブロムカンプ監督作。
彼が若い時に作った短編映画『Tetra Vaal 』がベースとのこと。

世間の評価は芳しくなく、興行的にも成功したと言えない。
しかし、私はとても好きだ。

人工知能の誕生の過程があっけなかったり、カリアゲ女が母性に目覚めるのが唐突過ぎたり、…ツッコミどころと“粗(アラ)”が満載かもしれない。

しかし、D社製の“大人も子供も楽しめるファンタジー”にはない独特の魅力がある。
3つにまとめてレビューします。

1.テーマ
深いテーマを内包していると思う。
人間と神(maker)の関係、子供の人格形成、生物の命について、そして魂(soul)についても触れている。

2.ダイ・アントワード
チャッピーの父役と母役の2人は南アフリカで活躍する人気バンド“ダイ・アントワード”のメンバーとのこと。
カリアゲ女はヨランディー、刺青男はニンジャだ!
DQNの世界大会があったら上位入賞間違いなしのご両人である。
訛りがキツい、見た目がビンボーくさい、アクセサリーは品が無い、服はクソダサい。
「こいつらと2時間を共にするのか…」と始めは頭を抱えたが、最終的には感情移入して、2人がとても好きになっていた。
ヨランディーは撮り方が上手なのもあるが、とても魅力的だった。
特にチャッピーに絵本を読んであげるくだりはジーンときた。
「見た目は関係ない。大切なのは中身よ。ママはあなたの心を愛しているの。」
泣いたぜ!!
※吹き替えは新谷真弓さん。

3.気付いた点※推測含む。
・チャッピーの製造番号は“22”であるが、これはチタンの原子番号。
・悪役ロボ“ムース”のデザインは『ロボコップ』の悪役ロボに似ている。
・エンディング曲は「Enter the Ninja」。SmileDKの「Butterfly」をサンプリングしており、歌詞にはサムライが登場する。
・スカウトのデザインは士郎正宗のコミック「アップルシード」のロボットが原型。
・日本文化の影響を感じる。
・「黒い羊」の絵本は南アフリカのアパルトヘイトのメタファー?
・ヨランディーとニンジャのDQNファッションやアートワークをZEFというらしい。
・『ショートサーキット』も本作同様にインド系の科学者と自我に目覚めた機械の話。