Emma

トイ・ストーリー4のEmmaのネタバレレビュー・内容・結末

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前評判が非常に荒れていた理由は分かりました。長年見てきたファンにとってウッディは常に仲間を見捨てない人、離れない人。

けれども本作では最後に大きな決断を下します。その決断を受け入れられない人がいることもよくわかりますが、個人的にはとてもリアリティがあって悲しいけれど作品としてはスタッフが並々ならぬ決意を込めて決めたエンディングだと感じました。

なにより、作り手が1番誰よりもウッディのキャラクターをわかっていますし、観客が求めていることも分かるはずですから、その上でこの結末を選んだのにはきっと意味があると思うし、それを尊重したいなと思ったし、それが何か考えたいなと私は思いました。

監督が海外のインタビューでウッディがボーと別れてバズたちとボニーの元に戻るカサブランカ的な別れにするか、ボーも連れてボニーのもとに帰るか、迷ったという話を読みました。でもどれも満足いく答えじゃなかったと。

確かにそうかも。すごく悲しい結末ではあるけれど、あのままウッディがボニーのクローゼットで埃をかぶったら?他のおもちゃたちが出かけて行った部屋に一人残されたら?それはウッディの幸せなんだろうか?違う気がしました。てかボニー、アンディから奪い取るようにもらったんだからお前大事にしろよと思いましたが笑、そこがまたリアルだなと。子供の持つ飽きっぽさって本当にああいうものだし、自分も最後まで大事に今も持ってる玩具があるかな?あってもほんの一握り。とてもリアルな描写だと思いました。

玩具にとっての尊厳をある意味、痛烈に伝える作品に仕上がってるのかなとそこで気がつきました。そして、いつの間にか無くしたこれまで自分がひとときを共にした玩具に想いを馳せて心の中で詫びました。これこそがこの作品の伝えたかったことのひとつなのかも、と感じました。

長々と書いてしまいましたが、本作でも映像美は圧巻。アップデートされたタフなボーも最高だし、ギャビーギャビーのようなレトロな人形も作品に奥行きを与えています。ギャビーギャビーを通してウッディがいかに恵まれたおもちゃであるかを初めて知ったように思いました。世の中の子供、みんながアンディじゃないから。

あ〜、やっぱりアンディが恋しいね。
大人になって結婚してアンディの子供がウッディを引き継いで遊ぶところとか、見たかったなあ。4のストーリーを目にしたことで自分の中で美しく飾られた3のアンディとの別れが、本当に現実になってしまったような妙に心にぽっかりと穴があいたような気持ちになりました。こんな気持ちにさせてくれるピクサー、やっぱりすごいじゃないですか。ただものじゃない。

心の中にあるこの喪失感も全部このトイストーリーユニバースを作ってくれたスタッフの贈り物。大事だから寂しいのだ。大事な映画に出会わせてくれて、つくってくれて、ありがとう。
Emma

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