ヨッシー

トイ・ストーリー4のヨッシーのネタバレレビュー・内容・結末

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

『これが本当のトイストーリーなの?』

ピクサーによる3DCGアニメ映画『トイ・ストーリー』シリーズ第4弾。

ウッディ達の新しい持つ主となったボニーがゴミから作ったおもちゃのフォーキーが自分をゴミといい飛び出してしまい、フォーキーを連れ戻すために再びウッディが外の世界へ向かう。

監督は『インサイド・ヘッド』の脚本を務めたジョッシュ・クーリー。

ピクサーの原点にしてあらゆるCGアニメーションの原点となった大傑作シリーズ『トイ・ストーリー』の最新作。
僕自身も子供の頃に『トイ・ストーリー』にがっつりハマり、『トイ・ストーリー3』をちょうど作中のアンディと同じ年頃に見て最高の結末だと感動した世代でこのシリーズには非常に思い入れが強い。
その為、これ以上は考えられない見事な締めだった『トイ・ストーリー3』の続きを作るのにはちょっと疑問を持っていた。

単純に映像作品としてはさすがはピクサーといった感じでアニメーションとしての技術の高さを感じる。
冒頭の嵐のシーンのほとんど実写にも見えるリアルさや、おもちゃ達のさまざまな質感表現、単純な映像の美しさなどアニメーションとしてはもうこれだけで見る価値ありな1本になっている。

一方ストーリーの方はどうかというとこれがかなり難しい。
単純に今回の『4』だけで判断すればよく出来た作品だと思う。
ただ、『トイ・ストーリー』として3作目までの流れで考えれば、少なくとも3の結末を最高と思っている僕としては今回の結末には絶対に納得できない。

今までの『トイ・ストーリー』もおもちゃとしての在り方について様々な答えを提示してきたけど、最終的にウッディはおもちゃは子供に寄り添う存在であるという結論を出していた。
『3』ではあえて持ち主のアンディの元を離れ、仲間達と共に新しい持ち主のボニーの元へ行ったし、アンディからボニーへとウッディ達が受け継がれる瞬間は感動的だった。

しかし、今回の『4』の結末ははっきりってこも『3』のラストを台無しにしてしまっている。
確かにウッディの決断自体は間違ってはいないとも思う。でも今までのシリーズで積み重ねてきたものを全部捨ててまで、なおかつ『トイ・ストーリー』で語らなきゃいけない話だったのかは非常に疑問に思う。
結局は近年のディズニーがしつこく推しているポリティカル・コレクトネス思想があるだけなのではと思ってしまう。
個人的には過去3作で積み重ねてきたことや、前作でボニーにおもちゃを託したアンディの気持ちを考えると納得できない。

前作では登場しなかったボー・ピーフを登場させるのはいいアイデアだと思うけど、近年のディズニーにありがちな強い女性像だけが出てしまった結果、今までのボーとは別人に見えるし、彼女が変化した理由も特に説明されないから余計に飲み込みづらい。

新キャラのフォーキーも例えゴミから作られた物でも持ち主の愛情次第では宝物になれるというのは良いと思うけど、フォーキーの自分の存在意味への葛藤はかなり早い段階で解決されてしまうし、フォーキー自身が活躍してウッディ達を助けるシーンがほぼ無く、ただのトラブルメーカーであり助けられるだけの存在だったのは非常に残念。
もっと言えば、フォーキーの誕生、つまりおもちゃに命が宿る瞬間というのをシリーズで初めて描いてしまったことで、今までは気にならなかった(or気にしないようにしていた)物に命が宿る基準というのを考えさせられてしまうという『トイ・ストーリー』としてはちょっとアウトなところにも踏みこんでしまっている。

『トイ・ストーリー』としてアウトという点では、今回のおもちゃ達の行動はいくらなんでもやり過ぎ。
基本的に『トイ・ストーリー』は人間達に動いているところを見られてはいけないという絶対にルールがある。
これがあるからもしかしたらおもちゃが突然無くなったり、無くしたと思ったおもちゃが見つかったりするのはおもちゃ達が動いてたからかもというちょっとしたリアリティを感じられる。
でも今回は(2もだいぶやり過ぎだけど)運転中の車を邪魔するわ、直接声を聞かせるわと直接人間に干渉しすぎている。
今までと比べて人間が多いところでの行動も多く、人間達にバレないのがちょっと不自然なレベルになっている。

あとシリーズファンとしてはお馴染みのおもちゃ達の活躍がほとんどないのは非常にガッカリ。せめてジェシーやブルズアイは何かしらの活躍はさせて欲しかった。
冒頭で助けられた“アイツ”も全く登場しなかったのも残念。

結末の賛否の関しては人それぞれだと思うから絶賛派の人達の意見も理解はできるが、『3』の結末にやられた身としては今回のラストは受け入れられないし、『トイ・ストーリー』としての粗の多さはかなり気になった。
正直あの完璧な着地だった『3』でやめておけばよかったのに...と思ってしまう残念な作品だった。
ヨッシー

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