花とみつばち

影の車の花とみつばちのレビュー・感想・評価

影の車(1970年製作の映画)
3.5
松本清張「 潜在光景 」を野村芳太郎が監督。脚本 橋本忍、音楽 芥川也寸志と野村監督作品のお馴染みのメンバー。

松本清張の「 天城越え 」にも通じる作品で、少年という小さな存在が大きな意思を持っているというテーマ。

通勤バスの中で久しぶりに出逢う泰子 ( 岩下志麻 ) と浜島 ( 加藤剛 )。泰子は未亡人だが六歳になる息子がいる。浜島には妻がいた。やがて深い仲になる二人だが、浜島は泰子のその六歳になる幼い息子に嫌われていると思い込み始め、それがやがて嫌悪ではなく殺意なのではと疑い始める。それは浜島自身のドス黒い自身の過去と重なるのだった。
六歳の息子の浜島に向ける、殺鼠剤や刃物は偶然だったのだろうか…

私自身の幼い頃と照らし合わせると、まんざら無意識だとは思えない少年の行動。このおじさんがいなければ母親は取られない自分だけのものや、幼くても感じる母親とおじさんの不潔な行為に対する違和感を拭い去りたいだろう。

松本清張らしい小説の原案は良かった。面白いテーマだと思った。だけど映像にすると六歳の少年の殺意がリアルに感じられなかった為、スリリングに欠けるのが残念だった。
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