がちゃん

影の車のがちゃんのレビュー・感想・評価

影の車(1970年製作の映画)
3.9
高度成長時代。
郊外の団地に住む加藤剛は、
旅行会社の会社員。

妻は自宅で近所の主婦たちを集め、
フラワーアレンジメントの講師をしていた。

そして結婚10年くらいになるこの夫婦には子供がなかった。

加藤はバス通勤の帰り道、
偶然同じバスで馴染みの女性岩下志麻と出会う。

岩下はさらに郊外の人気の少ない集落の一軒家に、
6歳になる健一という子供と暮らしていた。

加藤は岩下の家に通うように。
家庭では味わえない落ち着きを覚えるようになり、
ほどなく二人は不倫関係に。

健一の寝息の聞こえる中、
二人は愛し合うのだが・・・

『6歳の子供に殺意はあるのか』
この作品のキャッチコピーです。

最初は人見知りしていたこの子供が、
次第に加藤になつくようになっていく描写は微笑ましいが、
突然子供が殺意を向けてくるところは相当怖い。

何を考えているのか、
或は何も考えていないのか、
潜在的な殺人意識が垣間見えるこの少年。
思わず『オーメン』のダミアンが最後に微笑むシーンを思い出したよ。

話の運び方が巧いね。
流石脚本橋本忍。

ラストは加藤の幼児体験が明らかになり、
なるほどだから子供ができなかったんだな・・・と。

いやあ、堪能しました。
原作、松本清張。
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