ヤマニシ

PKのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

PK(2014年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

 世の中の宗教の欺瞞を追求する話ではあったが、主人公とヒロインがどうも好きになれなかった。こういう異文化に慣れておらず本質を突いてくるキャラクターは、それ以外の部分が応援したくなるようなキャラじゃないと非常識なだけに映る。窃盗を繰り返し、時には他人に当たり散らすような真似をする主人公を応援する気にはなれなかった。勿論、本人は悪気があるわけではなく地球での常識に慣れていないせいだけど、とはいえ他人の思考を読み取れる能力があるのにいつまでも無知でいるのはそれこそ欺瞞のように感じてしまった。中盤で相手の嘘を知ったうえで相手を助ける真似をしたが、そういった場面がもっと多ければ応援する気になったかもしれない。ヒロインも最初にジジイに騙されて癇癪を起していたが、別に金を奪われたわけではないし、そもそも頼み込む側だったのに何でキレてるのかよくわからなかった。相手の発言に耳を傾けずにいきなり結婚するとか言い出したのもヒステリックで嫌だった。ラストの読書会で自分がpkから好意をもたれてたことを話すのすごい勇気だなと思った。人前でそんなモテアピールは普通出来ないと思う。数少ない好きなキャラは兄貴で、最初こそひき逃げしようとした小賢しさと、正体不明で不気味な主人公をかいがいしくサポートしてくれた人間味とのバランスが良かった。だが、脈略無くテロに巻き込まれて死んだ上に、それが話の展開に大きくつながるわけでもなかったので扱いの悪さが気に入らない。
 ストーリーは宗教の欺瞞を暴く話で、多宗教国家ならではの話で面白かった。だが、主人公の追及の仕方が、昔のネットの、賢しい子供が大人に鋭い一言を突き付ける系の書き込みを彷彿とさせるところが少し嫌だった。導師も敵として小物で、もう少し強キャラとしてふるまってくれたら面白かった。ちなみになんで導師はあんなにリモコンにこだわってたんだ?浮浪者から買った石に何故あそこまでの価値を見出してたのかよくわからなかった。終盤で「かけまちがい」というワードが違う意味で使われたのは面白かった。ただ、普通に電話番号を保持してた方が簡単だったんじゃないかな?と思う。
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