シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

PKのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

PK(2014年製作の映画)
4.2
今年のベスト3に入る傑作。『きっと、うまくいく』のヒラーニ監督とアーミル・カーン主演のコンビ再び。
『きっと、うまくいく』のテーマが教育問題なら、本作はSFを用いて、宗教問題に果敢に斬り込む。インドといえば宗教の国、しかもヒンズーとイスラムの対立という巨大な問題を抱える中でのこの挑戦の仕方は凄い。かなりアグレッシブな宗教批判ですからね。
アーミル・カーン演じる天衣無縫な宇宙人が、地球人の信じる神様を探し始めるというシナリオは巧緻そのもの。
カルトの主張を粉砕するロジックも、攻撃的というより、人間の温かい心情に根差したもので、優しい気持ちになりながら思わず拍手したり、そうだそうだ!と声をあげてしまいたくなるようなもの。
そして名前は伏せますが、「なぜ世の中にはこんなにもオカシナ宗教的教えが横行しているのか」について宇宙人の辿り着いた奇妙な結論が、一種のバズワードとして社会現象を巻き起こしていく辺りも、ゾワゾワーっとする快感やら生々しいリアリズムがあります。
そして、最後に宇宙人の取った選択に、宗教の本来あるべき本質とは、自分の幸せより、他人の幸せを願うこと、これだけはどんな宗教にも共通して必要な特性なのではないかと感じました。
今年の映画では同じく『神様メール』が宗教もので、新時代の宗教の在り方を模索するものでした。時代が求めたテーマなのかも知れません。こちらも傑作なので是非合わせて見てほしい。