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ミック・テイラー 史上最強の追跡者のナイトメアシンジのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「映画『史上最強の追跡者 ミック・テイラー』は実話に基づいて作られたホラー」

今日、ご紹介するのは、2013年のオーストラリア・ホラー映画「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」です。

上映時間は107分。
原題はWOLF CREEK 2 。WOLF CREEK(ウルフクリーク)は1947年、旅客機の乗客が偶然発見した実在のオーストラリアの観光名所ウルフクリーク・・クレーターのこと。

ウルフクリーク・クレーターは西オーストラリア州にある隕石の衝突起源のクレーターで直径約0.87km。
(大きい!)

周辺はウルフ・クリーク・クレーター国立公園に指定されています。

この映画「史上最強の追跡者 ミック・テイラー」は実際に起きた事件、ベラングロ州立公園遺体遺棄事件をヒントに作られました。ベラングロ州立公園遺体遺棄事件は、後にバックパッカー連続殺人事件と名付けられます。

バックパッカー連続殺人事件とは?

オーストラリア史上、凶悪で最悪の連続殺人事件のこと。
Ivan Milat(アイヴァン・ミラット)が1989年から1994年にかけオーストラリア国内で7人のバックパッカーを殺害して終身刑となったこの事件は被害者のうち5人は外国人(英国人2人、ドイツ人3人)。

7人の遺体はすべてニューサウスウェールズ(New South Wales、NSW)州の州立公園、ベラングロ・ステートフォレスト(Belanglo State Forest)内で発見された。

被害者は、いずれも銃で頭を複数回撃たれ、手足を拘束、脊髄を切られて身動きできない状態で長時間拘束されていた痕跡があった。

(なんとまあ、背筋も凍るおぞましさ。被害者の恐怖と絶望は想像を絶する。ご冥福を祈らずにはいられない)

警察はアイヴァン・ミラットには、最高30件の殺人を犯した余罪があるとみている。
(全容解明されていない!)

監督は作家でもあるグレッグ・マクリーン。
(邦題の”ミック・テイラー”はグレッグ・マクリーンが創作した残虐なシリアル・キラーの名前。ミック・テイラーを題材にした小説の共作者でもある)

グレッグ・マクリーンは2005年映画「ウルフクリーク猟奇殺人谷」で監督デビュー。
(映画「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」の前作にあたる。サンダンス映画祭で上映され、実話を元に描かれたことから話題になった。評価は高いが筆者は続編の方が好き)


主演のシリアル・キラー、ミック・テイラーを演じているのは、ジョン・ジャラッド。
(2012年のクエンティン・タランティーノ監督「ジャンゴ 繋がれざる者」にも出演しているオーストラリアの俳優)

映画「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」の冒頭はこんなテロップで始まります。”この物語は実話に基づいて作られたオーストラリアでは、毎年3万人が行方不明となり、その9割は1カ月以内で見つかっているだが何人かは、不明のままである”
(ホラーとしてはまずまずの出だし)


映画「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」のあらすじを導入部だけご紹介します。


映画「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」導入部あらすじ

オーストラリアの荒野に住むベトナム帰還兵でもあるミック・テイラー。

ミックは外国人観光客を見つけて殺戮を楽しむシリアル・キラーだった。

ドイツ人のバックパッカーのカップルを血祭りに上げ、狩りを楽しむミック。

現場を車で通りかかったイギリス人観光客のポールは、襲われた女性を助けたために、ミックに執拗に狙われ、追跡を受けることになる…。
(邦題の通りの説明、興味をそそるでしょ?)

続いて、「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」について筆者なりの感想など述べましょう。
(ネタバレあり)

出だし。オーストラリアの荒涼とした広大な大地が映し出されます。

大きな看板に隠れ、スピード違反を取り締まるハイウェイ・パトロール。
(アメリカ映画によくあるやつ)

ミック・テイラーに言いがかりをつけようとハイウェイ・パトロールがパトカーを降りて、近づく。警官の足元だけを映すシーン。(尊大でゆっくりとした足取り。印象的です)

違反切符を切り、馬鹿にして去ってゆくハイウェイ・パトロールの車を見送るミックの後姿。
(大地にしっかりと立つミックの足元。何かが起こりそうな予感)

ミックについて笑いながら話し合うハイウェイ・パトロールたち。

突然、運転手の頭がライフルの銃弾で吹っ飛び、車は制御を失い、道から転落。
(ワクワクする展開)

イギリスから観光でやってきたポールがミックから逃げてきた女性を助けたために、追われる中盤までは、文句なく面白い。

後半は評価が分かれます。
(ポールを捕まえ、監禁して酒を飲み交わしたり、クイズを出してポールの指を切断するミックのサイコなシーン。筆者は前半のスリリングな展開からの落差に残念に思う)

ラスト、
ポールを解放するミック。
(クイズに正解したから?更なる続編への布石?)

ミックのアジトから逃走を図るポールが、誤って他の監禁された人質を殺してしまうシーンは衝撃的です。
(グレッグ・マクリーンのホラーセンスを感じます)

後半にやや失速気味ながら、ホラーアクション好きなら見るべし。

殺人者の狂気を描く拷問シーンが好きな人は、後半まで我慢。

まずは御覧下さい。

”実話ベース”ということが一番の衝撃。
(30人近く殺しているかもしれないという事実)

ミック・テイラーを主人公にしたテレビ・シリーズもあるらしい。
(見てみたい気もする)

”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

(ナイトメア・シンジ)


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演出家・脚本家・映画評論家・演技講師・リーディング講師・ナイトメアプロダクションCEO の6つの顔を持つナイトメアシンジ

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