Donatello

ナイトクローラーのDonatelloのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.5
車内から撮られた、流れ行く夜の情景映像が綺麗な映画同士ということで、ライアン・ゴズリング君主演の『ドライヴ』と本作のマッシュアップ映像が作られたり、海外の映像制作者向けサイトなんかでも話題になったりしていましたが、まぁ例によって画は綺麗でもダラダラした内容だと思ってた訳ですよ。
でも、あるいは見所あるんじゃないかと観たら、これまた凄い作品でしてね。

ひょんな事からスクープ映像を撮影し売り込む事に興味を持った主人公。
普通ならユーチューバーになるところが関の山ですけどもね。
それを生活の糧にしようと、より高額にTV局に売り込む為、そして自らがのし上がる為に、過激にエスカレートしていく様をハイテンポで映し出していて、本当にドラスティックで唸ります。

交通事故だの火災だのといった日常的なものから、果ては殺人までをより鮮明に撮ろう遮二無二に出てくる姿は「何かに血迷った人」そのもので、被害者や救助する側視点では当然憤りを感じる事ですが、一方で主人公の周りを囲む人達は、同じ穴の狢ですからね。
そういう人達を踏み台にして突き進んでいく感じは狂気な生き様なのに、麻痺してきていつの間にか主人公側に偏ってしまう所は脚本の妙なんでしょうね。

ジェイク・ギレンホール君がもう抜群で、飄々とした口調からは想像できない恐ろしい事を口にする姿はもう怪演という言葉が相応しい感じです。
また『ミッシング・ポイント』という映画で、ぼぼ主役を演じていたリズ・アーメッド君が、今回も重要なポジションで、僕が「トウモロコシ畑を耕してたお父さんが宇宙に行く映画」みたいなのを撮る事があった時に使いたいと見込んだだけはあります(何様)。

終盤に至る展開は相当な前振りがあるんで読めるんですけど、実際オチとかが問題ではなくカタルシスに至るプロセスが凶悪過ぎて強烈。

ダン・ギルロイ監督が以前に脚本に携わってた『落下の王国』なんかだと完全にターセム・シン色で染まっていたので、どんな物語を書く人なのかいまいちよく分かりませんでしたが、面白さの為なら良識もブン投げる人だとよく理解できたので、次にどんなモノを撮るのか楽しみです。
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