ミシンそば

とうもろこしの島のミシンそばのレビュー・感想・評価

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
3.5
河を挟んでジョージア兵とアブハジア兵がにらみ合うジョージアの紛争地帯。
そんな河の、流れた土砂で出来る中洲で、その肥沃な土砂を利用して、冬を乗り切るためのとうもろこしを栽培する老人と孫娘の日々を、セリフを極力減らして淡々と作業的に描いた結構野心的な作風の映画。

アブハジア人の老人と孫娘の生活背景を冒頭にさらっと文字で説明し、ランタイムの約1/5を使って拠点となる小屋を建てるとこまで描くのにはまず度肝を抜かれる。
(ほぼほぼ作業は無言で行い、時間経過こそよく分からないけど行程描写も丁寧)。
小屋を建てたら鋤簾で土を耕して、トウモロコシの種を蒔いて、雨が降って土砂が流れたら岸の樹を刈って土砂の流入を防ぐ柵を作る。
非常に、その作業が淡々と描かれることに映画は費やされ、途中で現れて老人の農作業を手伝い、少女の心も奪った(みたいな感じ)のジョージア兵に関する話も、何なら河を挟んで互いに殺し合う戦争も、老人と少女にはそんなに関係ない。
こちとら生きるために農作業してんやって、静かに叫んでいるようだった。

日本では姉妹作的な立ち位置にある「みかんの丘」と同様レベルの感動が味わえるかと言うと、ハッキリ言ってそうではない。