ハレルヤ

とうもろこしの島のハレルヤのレビュー・感想・評価

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
3.8
ジョージアとアブハジア自治共和国の間で発生した紛争。両軍が睨み合う川にある中洲で、とうもろこし畑を耕す祖父と孫娘の2人の姿を通じて紛争の愚かさを描くドラマ。

本作と同じ紛争での出来事を描いた「みかんの丘」がかなりの秀作だったので、こちらも期待していました。

まず冒頭から約20分間過ぎるまで台詞は全く無し。お爺さんが黙々と土地を耕し、拠点となる小屋を作る。孫も手伝いながら徐々に中洲が小さな島へと変わっていく。そんな前半なのでこの時点で無理な人は、この作品に向いていないでしょう。

前半に限らず全編台詞はかなり少なめ。余計な会話は省いている事で、本作のテーマは映像に強く反映されています。

中盤で負傷したジョージア兵が島へ逃げ込む場面もありますが、傷を手当てし歩けるようになるまで世話をして、誰であろうと助けるお爺さんの姿勢は「みかんの丘」にも通じるところ。

お爺さんの寡黙な職人気質も良かったですが、手伝う孫役の女の子も可愛らしい。静かな場所とはいえ、そこは紛争地域。そこにこんな子いたら危ないんじゃないの?という心配が最後までずっとありました。実際対岸から兵士にナンパされてたし。そういう密かなハラハラも紛争という出来事があるからこそ。

劇中のほとんどが、とうもろこし畑作りに終始していてラストはどう締めるのか気になっていましたが、ここもかなり胸に来る終わり方。自然の厳しさと紛争の無情さ。それぞれしっかりと考えさせられるものでしたね。

娯楽要素なんか皆無に等しいのに、最初から最後まで集中を切らさずに見れました。どの場面を切り取っても絵になる大自然の美しさには目を奪われます。

メッセージ性も強く感じられる一作ですが、ただの中洲からとうもろこしの島へと変わる様子だけでも、かなりの見応えがある作品です
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