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とうもろこしの島のYYamadaのレビュー・感想・評価

とうもろこしの島(2014年製作の映画)
3.8
佳作!傑作!【外国映画のススメ】

◆製作国: 🇬🇪 ジョージア (旧グルジア)
◆製作年: 2016年
◆ジャンル: 「人間ドラマ」

〈見処〉
①戦火のなかの人間らしい生活
・現在も続くジョージアとアブハジア自治体による内戦下の1992年。両陣営の境界を流れるエングリ川は、洪水による肥沃な土により、毎年小さな中洲を作られる。
・アブハジア人である老人の農夫は今年も中洲に移り住み、孫娘とともに静寂を切り裂く銃声のなか、大自然を開拓し、生活の糧「とうもろこし」を得る姿を通じ、人生の意味を問いかける。
・普遍的な「人間らしさ」を描く佳作。

②映画作品として
・セリフは極めて少なく、美しい風景映像と自然音を中心に添えて、大自然の壮大さと狂暴さを描く。
・戦時下を舞台としていた作品ながら、戦闘シーンを描いておらず、銃声のみで紛争下の生活であることを表している。
・ワイドショットによる風景撮影がとにかく美しい。また、ラストの自然との対峙シーンは非常にダイナミックである。水嵩の増えたシーンは、どのように撮影しているのかわからなかった。

③ローカル性を学ぶ
・ジョージアはコーカサス山脈南側、
黒海とカスピ海の中間に位置する小国。日本では大相撲の元大関・栃ノ心の出身国として認知されている。
・周辺は世界で最も民族的に多様な地域。1991年のソ連崩壊に伴い、独立を果たしたジョージアだったが、ソビエト共産党が抑圧していた民族問題が、ソ連崩壊にて表面化。アブハジアがジョージアから独立を求めて紛争状態に陥った1992年が本作の舞台である。
・作中に「ここは 誰の土地?」「耕す者の土地だ」の台詞のとおり、古代文明から続く氾濫農耕として、アブハジア人はエングリ川にて、水浸しになった農地を諦め、新しくできた中洲でとうもろこしを作る習慣があったそうだ(現在は不明)。

※本作はフォロワーのmaroonさんに紹介いただき視聴しました。
いつもありがとうございます!
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