8さん

ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたちの8さんのレビュー・感想・評価

3.8
一隻の古ぼけた船に住む少年と、侵入者達の言葉を越えた交流を描いたドラマ作品。

国境沿いの立入禁止区域に放置された船を根城にし、魚や貝を獲って1人逞しく生活する少年。孤独だが静かな船での暮らしに、突然国境の反対側から少年と同じ位の年の少年兵が乗り込んでくる。「船のこちら側は自分の陣地」とばかりに甲板にロープを張り、勝手に船の備品を持ち出していくこの小さな侵入者に少年は怒りの声をあげるが、言葉が通じず、時に銃を持ち出す少年兵は何を言っても伝わらないのだが…


『この川の向こうに、ぼくの知らない世界がある。』


国境の境、人種の境、性別の境、年齢の境、沢山の境があるキャストの中に共通するものは、人間であり生きていかなければいけない事。

目立った音楽はなく、古ぼけた船周辺で起こる生活音と台詞のみ。その日その日を懸命に生き抜く姿を、強いメッセージと共に伝えてくるカメラアングルは妙に余韻が残ります。

観賞後に作品の事を考えると、金属音と水の音、銃撃音が静寂の中にずっと響いている様な感じがしました。
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