ずどこんちょ

本能寺ホテルのずどこんちょのレビュー・感想・評価

本能寺ホテル(2017年製作の映画)
2.8
"ぶりぶりぎっちょう"という遊び、初めて知りました。
日本にも昔からいろんな遊びがあるんだなぁ。

現代の悩める主人公が立ち寄ったホテルで、ふとしたきっかけでタイムスリップして本能寺の変の直前の織田信長と出会うSFストーリーです。

鈴木監督の作品ではドラマでも映画でも画面に映る人が真ん中に立って、顔がアップになったりしてこちらを向きながら台詞を言う演出が多いですが、そのために都度、風間杜夫演じるホテルマンがロビーの真ん中に立ってお客さんに挨拶を交わします。
エレベーターと風間杜夫とエントランスが直線上に並ぶ。この美しい構図がこのホテルの独特なSF感を演出していたようでした。
エレベーターは織田信長がいる過去につながる世界で、エントランスの向こう側は結婚を控えた繭子の不安や期待の入り混じったこれからの未来が広がる世界。ロビーだけが現在の世界です。
繭子はエレベーター内で過去と触れ、過去の災難から逃れてエレベーターから飛び出してロビーの現在に戻り、そして自身の悩み多き未来に向かってまた外の世界へ歩み出します。
未来の不安を拭うために、何度も過去に戻って織田信長の生き様や価値観に触れる繭子。次第に冷徹非道で恐ろしいイメージのあった織田信長が、本当に天下統一を通して求めていたことや本能寺の変を迎える彼の決断の意味を知っていくのです。

歴史を知り、自身の人生を見つめ直すこと。
本能寺ホテルは実在しなくとも、京都や奈良など歴史深い土地に行き、史跡や記録に触れることで、同じような歴史の息吹を感じることはできるかもしれません。