YASUU

本能寺ホテルのYASUUのネタバレレビュー・内容・結末

本能寺ホテル(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

本作はタイトルにあるように、戦国時代の有名な事件である「本能寺の変」を題材に、現代からタイムスリップした綾瀬はるかさん演じるヒロインのコミカルな行動を描くSFドタバタ劇です。
2011年に公開された「プリンセス・トヨトミ」の製作スタッフ・出演チームが再結集し、製作されています。

タイムスリップした主人公が歴史上の有名な人物と出会い、歴史上の事件に巻き込まれていくという、お決まりのストーリーですが、やりたいことがないという曖昧な態度の繭子が、事件を通して自分の将来を決めていくという、女性の自立も題材にしている点が一味違うところかな?
綾瀬はるかさんが等身大の主人公を演じていて、実に劇にハマっています。

タイムスリップものには必ず付きまとう問題。結末を史実通りにするか、思い切って変えてしまうか。
本作はSF作品なので、史実通りにする必要はないと僕は思います。
もともと本能寺の変にはいくつかの謎があって、代表的な謎が、
・消失した本能寺から信長の死体が出ていない
・事件を知った羽柴秀吉が中国地方から飛んで帰ってきたという普通ならありえない中国大返し
など。
残された記録からは信長は本能寺で自害した、とされていますが、死体が発見されていないので、本当に死んだのかは疑問視してもいい。特にSF作品なら信長を生かしておいてもいいのにと思います。
本作では信長は史実通り、自害してしまいます。
せっかく主人公が本能寺の変のことを信長に伝え、本能寺から退避することができたのに、あえて信長は死を選びます。

繭子が持ち込んだ現代の京都の観光パンフレットを見たのが理由です。
信長は繭子が遠い未来から来たことを知り、彼女から入手した観光パンフレットに写る幸福な若者たちの姿をみて、自分が死ぬことで、行き先平和な未来が訪れることを理解したのです。
信長の望みは万民が平和な日々を暮らせること。
自分が死ぬという運命を受け入れることが、自分の望みを叶える最良策だと。

でもね、本作はSFだから、信長を現代に連れてくるという方法もあったのでは?と思います。
現代にやってきた信長が、現代の若者たちと交流する面白おかしい姿をラストで映す。
そうすればSFらしい面白い作品になったのでは?
ちょっと真面目なラストで、拍子抜けしました。
YASUU

YASUU