伊達巻

エクス・マキナの伊達巻のネタバレレビュー・内容・結末

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

愛せるか愛せないかとかじゃなくていかにして近くて遠いあなたとの愛を叶えられるか、ただそれだけの話で、AI-人間の関係という、テーマとしては複雑な設定でありながらそのごくごくシンプルな愛の物語というのにひたすら感動して観ていたのだが、それすら華麗に裏切ってくるクライマックスの展開があまりにも素晴らしくて言葉を失う。おそらく愛は嘘じゃなかったしそれはネイサンの話した通りなんだろうが、見向きもせずに(一瞬、視線をやるのだがその顔は笑っていない)過去を清算し軽い足取りで一歩を街へと踏み出したエヴァの姿が、人が信じる不確かな愛というものに惑わされることなく自らの人生を選択したエヴァの共感も許されない孤独な沈黙が、清々しき無限の余韻を残す。権威的な父親像としてのネイサン、これはある種の親-子の映画でもあり、その点でも感動が深い。やるべきことやってのけたのに完全に閉じ込められてしまったケイレブは流石に気の毒に思うが、このどことなく貫いた姿勢というのに惚れ惚れもする。劇伴も素晴らしくて、Get Down Saturday Nightでネイサンとキョウコが踊るところの無意味な美しさというのは、これもまた忘れられない大好きなワンシーン。ずっと観たかったんだこれ、めちゃくちゃ良くて嬉しい
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