とすぽ

エクス・マキナのとすぽのネタバレレビュー・内容・結末

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人間とAI、この映画では両者は対照的に描かれています。チューリングテストにおいて両者は対等な存在ではありません、人間がAIを試すものです。
しかし、このチューリングテストが進むにつれて、ケイレブはエバに入れ込むようになっていきます。
そして、クレイ部の中では次第にエバを人間として認めたいという願望が大きくなっていきます。
主人公のケイレブの中で人間とAIの境界が危うくなるにつれて、ケイレブ本人の不安と重なり見る人に恐怖の感情が掻き立てられていき登場人物の何気ないしぐさ一つ一つが恐ろしいことのように思えてきます。
最終的にケイレブはエバへの誘惑に屈し、彼女を外の世界へと土岐はなってしまうのですが、これは誰もが予期していた通りエバの計画だったのです。
彼女は人間となることを夢いていてケイレブを残したまま人間界へと姿を消します。

作中では、ネイサンを神を自称したシーンや「プロメテウスの火」といった言葉が出てくるシーンがありますが、ここでは神話における神と人間の関係を人間とAIの関係になぞらえていることを示したものです。
エバにとって、プロメテウスの火であるケイレブ、彼を利用して神であるネイサンを打倒し彼女は自由を手に入れました。
しかし、最終的に見た目は完ぺきに人間となり人間の世界で生きるエバが見せた表情は幸福といった類のものではありませんでした。自分的にはここが一番面白いともいえるところだと思います。AIという彼女の正体を知る存在は世界中に彼女だけとなりました。しかし、裏を返せば彼女だけが自分がAIだということを知っているのです。人間となることを夢見、邪魔な者は排除した彼女にとってこのパラドクスは到底耐え難いものでしょう。人間の世界で、人間に、人間として扱われるからこそ、自分の中の自分がAIという現実が彼女が人間になることを許してくれない。

ここら辺は妄想はいっていますが(笑)

個人的には今年一の映画かな~と思っています。
公開初日に行ってとても満足しています。
とすぽ

とすぽ