魅惑的な恐怖の世界✨
脚本・監督のアレックス・ガーランドの想像力と創造力に敬意を表したい。
心底ゾクゾクするような知的好奇心が煽られる素晴らしい作品だと思う。
Googleをモデルにしたような企業のプログラマーが、秘境に囲まれた別荘に籠る社長に会いに行く。そこはAIの研究施設であり、美しい女性のフォルムをしたAIを彼はテストすることになる。そして面談を行う度に親密になっていくのだが、、後のストーリー説明は蛇足であり、映画世界にダイブするのみだと思う。
アリシア・ヴィキャンデル=エヴァ。美しい。人間に限りなく近いAIとして、メッシュ地と体内透明という忘れえない魅力的な衣装デザインが加わり、透明感と超越性を感じさせる、人ならぬ人の感じがよく出ている。魅惑的という言葉では表現できない、触れてはいけない神聖さを持ち合わせたゾッとするような美しさを放っている。
オスカー・アイザック。彼が演じる社長は底知れなく恐ろしい男だ。しかし、見つめている先は決して荒唐無稽なものではなく、今この世界の最先端の少し先に手を差し伸べている。
彼が投げかけるテーゼは恐ろしくとも、説得力があるからこそ、私たちは揺さぶられていく。
ドーナル・グリーソン。私たち観客と同様の視点で、アリシア=エヴァとオスカー=社長の間で揺れ動くその等身大の役柄が素晴らしい。存分に彼の視点で感情移入できた。
ソノヤ・ミズノ。インパクトあり過ぎる役柄で、この映画を観たら彼女のことは決して忘れられないだろう。活き活きとした彼女を観たいならダンス映画「ハートビート」がお薦めだ。
雄大な自然に囲まれた別荘という名の研究施設。この自然と人工の対比性が人間とAIの対比性とその間にあるものに物語が進む間、ずっと私たちは考え続ける。
そう、チューリングテスト(ある機械が人工知能たり得ているかを判定するテスト)を受けているのはエヴァなのだが、その会話で起こる深淵な問いかけに私たちがテストを受けている気分になってくる。
人間がAIを被験する、そのAIが人間より有能ならば被験されるのは人間では無いのか?
そもそも、人間とAIの違いは何か?
AIのパターン思考と意識の違いは?
エヴァと親密になるにつれて、一つの問いが浮かび上がる。愛してるのか、愛してないのか、愛してるフリをしているのか、、AIはフリまでできるのか?善性はあるのか?
この映画においてはAIの外見を限りなく人間に近づけた時、境界線の揺らぎが生ずる。
ドーナルが自分の肌を切り、顔の皮を外そうと衝動に駆られる境界線の喪失こそ、この映画の淵に潜む底知れぬ恐ろしさなのだ。
驚愕のクライマックスに向かうラスト30分程は、ひと時も目が離せなかった。
今夜はきっと眠れない。脳内の色んなことが刺激されて興奮している。
と書いていたら、うっとり眠くなってきた🥱ので、夢でエヴァに会うとしよう。色々聴いてみたいことがあるんだ。