エソラゴト

エクス・マキナのエソラゴトのレビュー・感想・評価

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
-
"完全な人工知能を開発できたなら、それは人類の終焉を意味するかもしれないー"




検索エンジンを運営するIT企業で働く主人公ケイレブは運良く社内抽選に当選し、天才プログラマーにしてCEOのネイサン宅への訪問権を獲得。
人里離れた広大な大自然の中にあるその邸宅内では人工知能(AI)の研究施設として女性型ロボット"エヴァ"の開発が密かに行われていたー。


主な出演者はほぼ3人、CEO宅での閉ざされた室内での密室劇ー。美しい広大な大自然の風景と生活感皆無な各部屋が交互に対比される中、淡々と描写されるのはケイレブとエヴァ、ネイサンの禅問答のような密な会話劇。

かなり静かな語り口なので、その一語一句の言動や些細な仕草・行動がその後の物語の展開を示唆していて常に集中力、洞察力を必要とする作品。


2018年に惜しくも亡くなられた物理学者のS.ホーキング博士は今作公開の前年にインタビューでAIについて冒頭のコメントを発表したという。名高い天才物理学者がAIに関してこのような警鐘を鳴らす真の意味合いがこの作品を観るとより明白により鮮明に浮かび上がってくる。



今作と同時期公開された『スターウォーズ フォースの覚醒』や『マッドマックス フューリーロード』という強力な布陣を抑えアカデミー賞視覚効果賞を受賞した見事な色彩感覚と映像美で見応え十分な上に、俳優陣も今が旬の豪華キャスト、そして鑑賞後にはあれこれと深く考察したくなる、数多あるA.I.を扱ったSF作品の中でも傑作といえる作品。

そういった話題作にもかかわらず、当時なかなか日本での公開が決まらない事に業を煮やして、日本語字幕付きの輸入Blu-rayを購入し一足先に鑑賞したのだった(その後約半年後に漸く劇場公開された)