イギリス発の、人類への警告系SF映画です。アンドロイドが人間と手を組み施設から脱出しようとする話。そのアンドロイドのデザインは凄くリアルで施設内のデザインも視覚的に素晴らしいもので、その年のアカデミー賞視覚効果賞を受賞した作品としても有名です。アクションシーンなどはなくシュールなストーリーですが、そこには緊張感というものが漂っていて、普通のSF映画にはない、良さがあります。
本作の一番の見どころはなんといってもやはり、アンドロイド・エヴァのリアルな姿とその施設内の美しいデザインでしょう。とても視覚的に楽しめた作品でした。この映画の９割以上はネイサンの別荘の中のシーンですし、登場人物についてももう三から５人しかいないといっても過言ではないでしょう（当然ほかにも人物は出てきますが、しっかりとセリフがありストーリーでか欠かすことの出来ない人物は数人に絞られます）。そして物語が展開されるテンポも凄くゆっくりです。
「そんな状態の映画、本当に楽しいの？」と思うかもしれませんが、この映画は主人公ケイレブの心理の変化を丁寧に描いています。彼はネイサンから「自分の作ったアンドロイドが人工知能を持っているかどうかを彼女と直接話して検証してほしい」と言われ、そこからはネイサンとアンドロイド・エヴァのとても興味深い内容の会話が始まります。そしてその会話は毎日行われ、徐々にネイサンは、エヴァに好意を寄せ始めます。
このように、この映画のストーリーで最も大事なシーンは、アンドロイドと一人のエンジニアの会話です。それは、もちろんただの世間話ではありません。ネイサンはのちには、アンドロイドであるということが人間の立場からしてみたらどれだけ切ないことなのかを知り、エヴァを助けたいという心理にまで陥ります。その内容がとてもシリアスですが説得力のあるものでした。
