カルダモン

スコピオ・ライジングのカルダモンのレビュー・感想・評価

スコピオ・ライジング(1964年製作の映画)
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ブルックリンに集うバイカーたちに声をかけて彼らの生態を記録したという本作。
ガレージ、革ジャン、ゲイ、バイク。メタリックな質感と肉体が艶かしく光り輝き、それらを彩るDJケネスアンガーの選曲もまた光る。

革ジャンの背中にスタッズで書かれた"Scorpio Rising" "Kenneth Anger"がクール。アンガーの短編はどれもタイトルの見せ方やフォントがいちいちオシャレでそこも惹かれるポイント。

唐突に挿入される宗教シーンは本作の編集中に教会の日曜学校用のフィルムが間違って玄関先に届けられていたものをそのまま借用したらしい。なにそのエピソードって笑っちゃうけど、でもこの映像が差し込まれることで若者たちの生態がより際立ってもいて。宗教へのアンチテーゼにも見えるし、神も人も同じ風にも思える。説明なんてなにもないから自由に見られる面白さ。

デヴィッド・リンチ、ギャスパー・ノエ、ニコラス・ウィンディング・レフンというクセ強監督たちに影響を与えたってのも納得。

レイ・チャールズの『Hit the Road Jack』、他の映画でも聴いた記憶がチラチラ邪魔をして、まったく思い出せなくてモヤモヤして、数日経った今現在ようやく『ハウスジャックビルト』だ!ってスッキリした。