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アバウト・レイ 16歳の決断のemilyのレビュー・感想・評価

アバウト・レイ 16歳の決断(2015年製作の映画)
3.7
 女性の体で生まれたトランスジェンダーで16歳のレイ、身も心も男になるためホルモン治療を受けたいとシングルマザーの母に話すが、動揺を隠せない。一方ラモーナの祖母でレズビアンのドリーもトランスが理解できないでいる。しかしレイの気持ちが固い事を悟ると母親はホルモン注射の同意書にサインをもらうため、元夫に会いに行くことにするが・・

 レイを演じるのはエル・ファニング。母親はナオミ・ワッツ、祖母はスーザン・サランドンという豪華な面子がレイの決心を受け、それぞれが葛藤し、理解し、それは同時に自分自身と向き合い成長することにもつながる。女だけの世界で育ってきたレイ、一つ一つ問題に立ち向かい、それぞれの精一杯で受け止め解決していく。その過程は時にコミカルに、男以上に勇敢で、それぞれの葛藤が丁寧に絡み合っており、その中でレイの強い意志が光り輝く。

 レイによりそうカメラが荒々しく揺れ、大人達の会話をバッグにその心情を捉える。背景越しの表情、細部のアップ、体を鍛える姿、レイが自分自身と必死で向き合おうとする事は自然と母親にも遺伝し、母もまた自分の過去と向き合い自分自身と向き合う事を強いられる。誰も願うのはただ一人。レイの幸せ。そのためにそれぞれが強く、互いを思いやる姿はあったかい気持ちにしてくれる。姿形は関係ない。縁あって家族になったのだ。家族がいて自分が居る。支えてくれる人がいる。誰かを思うことは自然と人をつよくする。
 
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