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奴らを高く吊るせ!のbluetokyoのレビュー・感想・評価

奴らを高く吊るせ!(1968年製作の映画)
3.1
2024年4月23日 13:40~ テレビ東京 吹替え
むかし見たので、見るのはやめようと思ったが、タイトルしか覚えていないので、記憶違いかと思って見てみた。やっぱ、見たな。冒頭の川を渡る牛の群れは覚えがある。ただ、いま見ても、よくわからない話で、覚えてないのも無理はないな、と思ってしまう。とはいえ、十分にクリント・イーストウッド的ではあるとは思う。雰囲気的に、クリント・イーストウッド演じるジェドという男が、9人の男に殺されかけ、その9人への復讐の話と思ってしまうが、実際、そんな話ではなく、もっと複雑で、ありていに言えば、しっくりこない話なのである。

簡単にあらすじ。
ジェドが、たくさんの牛を引き連れて川を渡ったところで、9人の男が現れて、いきなり、ウシ泥棒の嫌疑で、ジェドを縛り首にする。死ぬ直前に、保安官が現れて、ジェドを救出する。そのあと、連行して裁判へ。
つまり、救出したのではなく、実は、逮捕したわけだ。
幸い、ジェドは、冤罪だとわかり、釈放された。

フェントン判事に呼ばれて行ってみると、なんでも、オクラホマには、判事が自分一人、保安官が数名しかいない。まったく、治安を維持するためには人手が足らないのだ。たしか、ジェドは、以前、保安官をやっていたらしい、ということで、是非、オクラホマの保安官になってくれ、という要請だった。
自分を縛り首にした9人に報復できるということで、その要請を引き受けるジェド。もちろん、フェントン判事は、復讐はいかん、殺さずに、ちゃんと生きたまま連行してくるように、と釘を刺すのであった。

と言われながら、ジェドは、最初の一人をあっさり射殺。
残る8人は、そうとうにビビるわけである。だから、オレは、もっと慎重にすべきだといったんだよ。オレは、逃げるのが得意だから逃げるぜ、さいなら。オレは家族があるから逃げられない、いっそのこと、ジェドを殺しちまおうぜ、とか。

一方、ジェドは、保安官なので、復讐ばかりやっているわけではなく、別件も扱う。ある事件で、二人の若い兄弟を連行したが、どうも、犯行には深く関わっているわけではなさそうだとわかった。
だが、多忙を極めるフェントン判事、面倒くせえから、みんな縛り首だ、一件落着、ということで、みんな縛り首。

ジェドとしては、なんか、オレが、9人に縛り首にされたことと同じなんじゃないか、私的か正式かの違いだけで、やっていることは同じなのでは、と思い始めている。

そんなことをやっているうちに、9人のうちの3人から銃撃され、重傷を負う。雑貨屋のレイチェルという女性が看病してくれる。
で、このレイチェルという女性、囚人が護送されるたびに、囚人をいちいち確認するわけである。なぜかというと、夫を二人組の強盗に殺されたので、復讐のためである。彼女もまた、復讐に取り付かえている。
そんな、ジェドとレイチェルは、愛し合うようになる。まあ、復讐だけではないのだ、ということを言いたかったのだろう。

で、もううんざりのジェドは、最後の一人は許したりする。

ジェドは、フェントン判事のところへ行き、保安官バッジを机に置き、オレもあんたも、正しいことやっているのかわからなくなった。もう辞めるよ、と告げる。

すると、フェントン判事。わたしはだね、わたしが間違っているということを言ってくれる人を待ち望んでいるんだよ。そんな人もいずに、一人で決めなきゃならんのだ。
さっき、二人分の逮捕状が来た。こいつらを逮捕してくれ。この忙しいときに、下らんことを言っているんじゃない。さあ、早く行け。
そう言われたジェドは、さっき机に置いた保安官バッジを掴むと、部屋を出て行くのだった。

クリント・イーストウッドには、やはり、不条理が似合う。
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