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デヴィッド・ボウイ・イズのRYOのネタバレレビュー・内容・結末

デヴィッド・ボウイ・イズ(2013年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます


鑑賞前、座りながらスクリーンが開場するのを待っていると隣に座ってきた金髪のお兄さんに話しかけられた。
お兄さんはオアシス:スーパーソニックを鑑賞してきたらしい。生粋のオアシスファンのようで、これで3回目の鑑賞だったそう。そんなお兄さんは別れ際に僕に豆知識を教えてくれた。

「ノエルがライブでWhateverの後奏にボウイのAll Young Dudeのフレーズをアレンジで入れて演奏したというエピソードがあるんだ。ロックンロールだよね。いってらっしゃい。」


この映画は記録映画、且つ回顧展のドキュメンタリー映画であるけど、この、脳のカルチャーな部分をガンガン刺激してくるようなメッセージ性はどこから来るんだろう。"David Bowie is"という疑問の答えを見つける為に、必死だった。

赤ちゃんの頃のボウイの写真から、これから来る時代まで、その断片を回顧展という場に収めた今回。音楽、映画、絵画、読書、演出、ボウイはすべてのカルチャーな面で一世を風靡していた。

僕はもともと音楽が大好きだから、ボウイの作品は音楽メインに触れていた。たまに映画も観た。
"地球に落ちてきた男""戦場のメリークリスマス"はスクリーンで観た記憶がある。

彼の中にはziggy stardust、Aladdin Sane、Thin White Duke等の様々なペルソナが存在したのは知っていたけど、僕がこの映画で初めて知った初期の彼のパントマイム作品、"The Mask"は衝撃だった。こんなこともやってたのか、と。笑顔の取り外しが上手い人だ。ピエロ役がよく似合う。

"Diamond Dogs"を表現するにあたって、あれだけの細かい設定を考えていたことに度肝を抜かれた。映画を作れるレベルで設定していたのだっけ。是非観てみたい。
僕はその冒頭でハロウィン・ジャックが放つ「これはロックンロールではない、大虐殺だ!」という台詞が堪らなく好きだ。
"Ziggy Stardust"の衣装や、山本寛斎のブラック・ストライプスーツ。どれもが魅力的だった。山本寛斎に至ってはプレゼンがキュート!会場で一番笑いを取ってたんじゃないだろうか。

中々、回顧展に行けるタイミングが掴めなくて行けてないのだけれど、"Low"に使用されたシンセサイザーが展覧されているなら、それを大目玉として行こうと思う。いつ行けるんだろうな。でも映画を先に観れて良かったと思う。この映画は回顧展の細かい設定や経緯まで余すことなく教えてくれた。

ボウイは表現の幅が広すぎる、そしてそのどれもが誰よりも秀でている。
何だかジワジワと心が温かくなり、根拠もない自信が何処からか湧いてくる。
ラストの慈愛の"Heroes"で彼に背中を押されたような、そんな感覚がした。

デヴィッド・ボウイは何なのかを考えているうちに、いつの間にか自分を見つめ直す良い機会にもなった。


帰り道で"★"を聴く。
やっぱりこのアルバムは最高だよ。
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