Cezan

劇場版 MOZUのCezanのレビュー・感想・評価

劇場版 MOZU(2015年製作の映画)
3.5
少女マンガと小説原作を映画化しまくるクソみたいな日本映画の中で、これだけ確実に異彩を放つ予告編だったので思いがけず観た。

まず、照明が最高。
緑と赤のビビッドなハレーション、青色に照らされる2人、常に背後で揺れる炎、どのシーンをとっても必ず光が奇妙に色づいていて、かつ揺らめいていた。
こんなに登場人物の心情をあからさまに表現する照明ないでしょ!!リリィ・シュシュぶりや!

あと、カメラアングル。
随所に入れられる、主人公ぐるぐる撮り。
廃墟とか、アジアの屋台や都会の喧騒で盗み撮るように割られたカット。尋常じゃない。

この2つがあるおかげで、2時間ずっと続く緊張感。

逆に言えばこの2つが、脚本の荒々しさをカバーする。

ドラマを見ていないと、
伏線が伏線になっているのかすらわからなかったし、
まず人の名前が欠片も入ってこなかったし、
浦沢直樹の20世紀少年バリに引っ張って引っ張って、え、で、ダルマがこいつで、え、どうなったの!!!???最後。

みたいな突き放された感覚も、
この照明とカメラのおかげでどうでもいい、というかもはや気持ち良くなってくる。


日本の映画でも潤沢な予算があれば、こんなにキレイな画がとれるんだーーーっと少し別の意味で感動した。

北野武が好きなので存在感で+1
真木よう子の演技が「ウソでしょ!!!???」ってぐらい下手だったので-1
Cezan

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