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ベル ある伯爵令嬢の恋のtaruponのレビュー・感想・評価

ベル ある伯爵令嬢の恋(2013年製作の映画)
4.0
18世紀後半、アフリカ系の奴隷とイギリス貴族との間に私生児として生まれ、イギリスの伯爵家に引き取られて育てられた女性ベルを主人公に、イギリスの奴隷制廃止のきっかけとなったゾング号事件の裁判をめぐる話が描かれる。実際に存在した事件や人に基づいた話。
何より、18世紀に、実際にこういう境遇の女性が存在したということに驚くが、先日見たドラマ「サンディントン」でも肌の色の違う相続財産を持った令嬢というのが登場していたので、このマンスフィールド伯爵家の令嬢については、21世紀に入って伯爵家が公開した映画の中にも登場する絵によってその存在が明らかになったけれど、当時は他にもこういう例があったのかもしれないなって思う。
そして、イギリスの奴隷制の廃止について断片的に知る知識が、この映画を見て、実在の絵の存在を知ることで、すごく人間味を帯びたものに変わる気がした。
肉親の情は人一倍かけられつつも、公なものとできないベルの存在。財産と身分をかけたやりとりがメインの当時の結婚事情。養父のマンスフィールド卿の事件に向き合う葛藤、奴隷制廃止への運動をしているジョンとのラブストーリー等、いろいろな要素が詰まっておりそれでいて、きちんとベル自身の物語としてまとまっていて心も動かされたし面白くみることができた。
ベルの美しさ、18世紀後半の貴族社会の屋敷のインテリアや衣装、社交場としての公園の様子等、見て楽しめる部分も盛りだくさんだった。
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