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ベル ある伯爵令嬢の恋のメルのレビュー・感想・評価

ベル ある伯爵令嬢の恋(2013年製作の映画)
3.9
18世紀のイギリスで実際にあった話。

黒人奴隷が人間としてでは無く牛や馬と同じ積荷の商品として扱われていた当時、アフリカ奴隷の血を継ぐ娘ベルが裁判所の最高判事マンスフィールド卿の家に訳あって引き取られた。

その家にはもう1人白人の養女エリザベスが居て、2人は姉妹の様に育つが、正式な席にベルが出ることは無かった。

貴族社会独特のしきたりや、財力、身分など露骨な品定めをする会話に呆れる。そして主人公のベルが賢く前向きであるのが見ていて気持ち良い。

マンスフィールド卿は後に奴隷船の事故に関する案件で自分の立場と信念の狭間で苦悩することになる。

甘ったるい邦題のイメージとは違い、肌の色も性別も超えた人間同士の深い愛の物語。

マンスフィールド卿のトム・ウィルキンソンの安定した演技、妻にはエミリー・ワトソン、ベルの父親はマシュー・グードそしてトム・フェルトンと名優揃い。

エンドロールに出て来る一枚の絵画が素晴らしい。
つい最近までその存在さえ知られていなかった一枚の実在する絵にマンスフィールド卿の深い愛情が感じられ、知性や良心があれば人種差別や偏見を持つ人間の心も変えられるのでは…という気持ちになる。
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