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花折りのmidoredのレビュー・感想・評価

花折り(1968年製作の映画)
4.7
満開の桜のしたで繰り広げられる滑稽な一幕。いたずら小坊主の声を当てているのは黒柳徹子。日本画と人形を合わせたアニメーションです。

小坊主の造形と動きがやたら面白くて、可愛くて、もう動いているだけで笑えるレベルでした。なんなんですかこれは。すかさず酒を嗅ぎつける鼻のムズムズも、CGアニメ『メリダと恐ろしの森』でクマがドタつくシーンくらい笑えました。

人形の動きに自分の心が同調してくすぐられるような感じがします。もちろん人形アニメーションなので、表情も最小限しか変化しないのですが、それでも動きや角度だけで表情がくるくる変わるので奇跡のようでした。

盃に瓢箪から酒をつぐ時の音と、酒をすする際のひょっとこ口が盃の下からちらりと覗いてるのも何とも言えずチャーミングです。

動きそのものが活きて、観ている者の快感になるのがアニメーションなのですね。動いている事物をフィルムに保存するのとは異なり、動きそのものを画面に生かすというか。大昔のディズニーアニメも体も服もゴムなのかというくらい伸びて縮んで、見た後にはもうそれしか頭に残りませんが、それが面白い。

アニメーションは映画とも小説とも全く違う表現物として見なければいけなかったなとあれこれ反省しました。
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