ひろぽん

エイプリルフールズのひろぽんのレビュー・感想・評価

エイプリルフールズ(2015年製作の映画)
3.6
1年で唯一嘘が許されるエイプリルフールの日に、東京で7つの小さな嘘が絡みに絡まって最高の奇跡を起こす物語。


一見何の関係もないように思える7つのお話が、終盤には点と点が繋がり1つの線となり円を描いて全てが繋がるという巧みな脚本。実際にありそうでなさそうな、まさに奇跡のお話。

嘘にも種類があり、自分を守ろうとする嘘、大切な人を守る嘘、自分の欲望のための嘘、他人を傷つける嘘、誰かを幸せにする優しい嘘etc.....
今作ではそんな様々な嘘を体験することができる。

そんなお話の中でも、不器用なヤクザと万引き娘の誘拐と、ロイヤル夫婦の話が特に好きだった。

寺島進演じるヤクザは、不器用だけど実の娘に愛情を持って厳しく接する温かい親子愛を感じたし、万引き小学生を演じる浜辺美波のその辺にいそうな素朴な雰囲気も良かった。ロイヤル夫婦の謙虚な姿勢や、夫婦間の愛を感じるコーラス、ラストの2人の会話シーンがとても素敵だった。

ビヨーンの少年も真っ直ぐで好きだったな。
“ビヨーン”って指を天空に向けながら俺もUFOを呼んでみたい。引きこもりのいじめられっ子が、いじめてくる相手をボコボコにしたり、好きな女の子に想いを伝えたりする振り切ったシーンは爽快だった。

何の変哲もない話の伏線がドンドン繋がっていき、終盤に全てが明かされていく構成にはワクワクさせられた。どことどこが繋がるのか考えながら観るのが楽しい。だが、話を詰め込みすぎて一つ一つの話が薄っぺらく感じる。コメディ調で面白さを期待していたが笑えるシーンは少なかった。

この作品の最大の魅力はキャスト陣がとても豪華なところ。チョイ役ですら主役級の有名俳優が起用されているので楽しい。裏を返せば役者の無駄遣いだが、そこがまた良き。

最終的には全ての嘘が良い方向へ向かっていくからほっこりする。人を傷つけず幸せにできる嘘も世の中には絶対必要だと思う。

この後、戸田恵梨香と松坂桃李が現実世界で結婚するのだから面白い。
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