うえびん

神々のたそがれのうえびんのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
3.6
旧くて新しい世界

2013年 ロシア作品
原題:Hard to Be a God(神様はつらい)

地球に800年遅れた別の惑星

初めて見る世界
降りしきる雨にどろどろの地面
街、城、酒場は石造りの建物が多い
鎧や剣は金属板が多く
ガチャガチャ音を鳴らす
どこかで見た世界は
中世ヨーロッパを感じさせる

自然界の4元素
火、空気、水、土の描写
ギリシア哲学の由来を想像させる

騎士ドン・レバと分隊の灰色隊
賢者(知識人)の処刑
焚書

知性を失った人々の荒廃した世界
暴力、わいせつ、略奪、粗相、酔狂…
首かせを嵌められた奴隷
無秩序でめちゃめちゃな世界に
観ている者の思考がはたらかなくなる
気分が悪くなる

地球から送られてきたドン・ルマータ
ごちゃごちゃな世界で神と崇められる
人々は彼の周りで
押し合いへし合い
ののしり合う

ドン・ルマータ vs 灰色隊
二極対立の中
神の名のもとの蛮行
灰色隊から黒衣の集団へ

「冷酷な強者が罰せられたとしても
弱者の中の少し強いものがとって変わる」
フランス革命後の
ジャコバン派の蛮行を想起させる

「新しい奴隷、新しい処刑台、新しい抑圧者」
「全部、繰り返される」
「神は無力なまま」
「何千年もずっと同じ」

ビザンツ帝国とギリシア正教会の
政教一致体制の確立
皇帝に対する反逆は
神への反逆となる

共産党の正教会弾圧と
「マルクス・レーニン教」の国教化
党への反逆は
イデオロギーへの反逆となる

帝政ロシアのツァーリ(皇帝)による独裁
ソビエト連邦の共産党独裁
繰り返される独裁体制

人々に自由を与えることは
無秩序を生むだけで
だから
上からの強権的な統制が必要なのか

現在のプーチン独裁体制
めちゃくちゃな世界情勢にもつながる
ロシア人の魂
ぬちゃぬちゃした粘着質のようなものが
映像化された作品

長くて難解
うえびん

うえびん