垂直落下式サミング

殺人ブルドーザーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

殺人ブルドーザー(1974年製作の映画)
3.5
舞台は、アフリカ大陸沖に浮かぶ孤島。美しいビーチは水面が揺蕩い水平線の向こうに日が沈む。工事中に整地作業員たちが掘り起こした隕石には、未知の宇宙生命体が眠っており、接触したブルドーザーに憑依して大暴れ。意思を持った重機が、作業員たちを惨殺しはじめる奇想天外モンスター・パニック。
往年の長身俳優クリント・ウォーカーが主人公。大好きな役者なのに主演作は発掘良品の西部劇か、こんなのしかない。しっかり老いているけど、変わらずデカイ。ジープくらいじゃ車のほうが小さく見えるから、重機を操縦してる様子がやっと適正なサイズ感覚。言葉が足らず周囲から誤解されてしまう堅物キャラは、よく似合っていたと思う。
こんな変な映画なのに、演出が投げやりじゃなくてほっとした。重機をモンスターとして描写するために工夫しており、作業灯の点滅、排ガスの噴射、ブレードの上下、それだけの動作で感情を表現。
重機という特性を使って遠距離攻撃してくるのも良アイデア。崖の上から岩落としアタック。地の利を得た発想の妙。
宇宙生物に憑依されたモンスターマシンに見せようと、乗り物を演技させている頑張りと律儀さに感心してしまった。ストーリーのつまらなさに目を瞑れば、ブルドーザーのなかに確かな魂を感じとることが可能。
ご機嫌に鑑賞するためには、短い上映時間のしょうもない低予算作品だって認識は必要。殺人ブルドーザーは、人間たちの判断能力を奪うほどの速度では追撃してこない騎士道精神の持ち主。死んだ仲間を弔う程度の時間は与える武士の情けが光る。砂浜に墓穴が増える、甘ったるいまったりマーダー、ショベルカーで押さえ込んだら技あり一本!