ねこ無双

黄金時代のねこ無双のレビュー・感想・評価

黄金時代(2014年製作の映画)
4.5
31歳、香港で短い生涯を遂げた中国の女流作家シャオ・ホンの波乱に満ちた生涯が描かれてます。
シャオ・ホンさんの著作は知らないんですけど、演じるタン・ウェイさん目当てで。

美しく陰りのある映像が好みでした。
撮影監督はワン・ユー。
波乱のある人生ながら、物語はとても淡々と抑えめに描かれてます。
時に生前の彼女を知る友人達が語る手法を取られていて、彼女の人生を振り返ります。

伴侶となる男性たちの間を漂いながら、生きた主人公。奔放にも見える生き方をした人ですが、彼女と関わる人々は男女問わずみな彼女に惹かれているように感じます。それでいて人間関係に対してデリケートな面を持つ複雑な女性でした。

二度出産しながらも母性を拒否した人で、激しい恋情を内に秘めながらも、全ては執筆活動を行うためだったんじゃないかと思えてしまう。

伴侶の中では、作家シャオ・ジュンとの馴れ初めが印象的。
彼女が書いた絵、詩に触れたシャオ・ジュンが「世界が一変するのを感じた、私の思想や感情も変化せずにはいられなかった」
と言うモノローグがステキ。
そしてその時のタン・ウェイさん…。
美しくてそりゃ惚れるわな、という感じ。

中国当局の文筆活動者への弾圧、魯迅先生との短くも楽しい交流、日本での生活や戦時下の苦難。
戦争の足音は二人の愛の終焉のきっかけとなり、幸せな日々も束の間だった。

タイトルの黄金時代は執筆活動専念のために日本へ渡航してた期間のこと。
神保町を訪れたりもしたそうです。
皮肉にも帰国後、日中戦争にまきこまれてしまうのですが…。

彼女と彼女の才能を悼む人たち。
タン・ウェイのはにかんだ笑顔や強い眼差しが残ります。