良くも悪くも押井守映画。
限られた時間と予算の中でやれることはやりました…という感じで、それ以上でもそれ以下でもない気がする。
実写ではなく、アニメとして作っていれば、もう少し観られるものにはなっていたのかもしれない。
まぁ、これはもちろん今作品に限らず、その前の実写版12話全てに言えることではあるのだが。
第1話から感じていたことだが、アニメでやって面白い演出を実写でそのままやったところで必ずしも面白くなるわけではない。
この実写版は、それがひしひしと伝わってくる。
正直なところ、この劇場版まで見続けるのはちょっとキツかった。
初期OVAシリーズ、テレビアニメ、後期OVAシリーズ、劇場版3作、そしてコミック版、それらをリアルタイムで追いかけてきた生粋のファンとして見届けなければならないという義務感で見続けたと言ってもいい。
押井監督がパトレイバーに強い思い入れが、あったわけではないことは知っていたし、彼が作りたかった作品とは違うベクトルであったことも知っていた。
当時、彼の思い描く通りの作品を作っていたらパトレイバーという作品の成功は無かっただろうし、それをあるべき方向に修正してくれていた他のヘッドギアのメンバーの功績は大きい。
もちろん押井監督の功績だって決して小さくはない。
しかしそのヘッドギアという枷がなくなって、彼のやりたいように作ったのが実写版なのだろう。
そういう意味では、演出面そして商業的な面で彼に意見をできる人がいなかったこと、そういう人を排除してしまったことが悔やまれる。