すがり

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのすがりのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

原作コミックは知りません。

まずは率直に、とても楽しかった。

マーベルヒーローはここまで観てきているとはいえ、正直好き嫌いがかなりあって例えばアントマンは嫌いな側。

いや、アントマンと映画は良い。
折角の単作に突如変な機械羽男を出したりして映画のための映画にしてしまうMCU要素が嫌いなわけだ。

映画はそこで完結して欲しい。

だから日本映画で最近多い前後編なんかも嫌で、そういう意味ではソーから続くように始まる実質的な後編になっている今作も好きではない。

嫌いと書き過ぎたがMCUの塊とはいえアベンジャーズみたいな集結モノ自体は好きで、まあそこにはリアス式海岸のような基準があるのです。

前置きが長いがそういう中にあっても今作は面白かった。
実質的な後編で、完全な前編にはなっているが楽しかった。
だってちゃんと能力全開で戦っていたでしょう。

○-MENとかも好きですがそれはキャラであって映画の政治的なごたごたは本当に退屈、私はお前らの力の映像表現が見たいんだぞと。

その点から言えば今作は最高の映画で、本当はそれだけで充分満足。
私的な話ですが背中が好きなのでアイアンマンやスパイダーマンのギミックにはめちゃくちゃ痺れた。

物語とかは既に有って無いようなものだから気にならず、重要なのは各キャラの引き立て方。
この点でも成功していて、各々の見せ場は混雑混乱しない程度にしっかり用意されているし、特にそれぞれの初登場シーンが素晴らしい。
その瞬間だけは完璧にそれぞれの世界だという雰囲気がばっちり伝わってくる。


しかし言うなら言うでやっぱりそれ以外に多くのもやもやが残ってしまうのも素直な感想で。

まずサノスが主人公でしょ。
これは言い訳がきかないはず。
残念ながらこのサノスをいまいち好きになれない。
どちらにも正義がとかそういうのはどうでも良くて、何故ならサノスには嘘が混じってる。

サノスは「人口は半分にする。無作為に選ぶ、平等にな」って言ってるがそこで「お前は?」って返したい。
無意識に自分たちを省いてるでしょう。

ソウルストーンも手に入れられたし単なる殺戮者ではなくて、愛を感じられるなら半分にされる種族の痛みも分かるだろうしやめて欲しいのも理解できるはず。

サノスの行為と感傷的な映画表現がどうしても噛み合わなくて、感情移入先をただバラけさせただけに感じてしまう。
ヒーローものでヒーロー応援できなくなったら魅力は減するし移入先になるような悪役が魅力的とは思えなかった。

完全に個人の意見になるが、
悪役がかっこいいのは共感できるからではなくて、何に対しても完全に一本筋が通っているから。
それが強烈なカリスマや中二病や時にはシンプルな力の象徴その憧れとして用いられる。

サノスはその心中を表情含めて表に出しすぎる。
背景に愛を抱えていたとしても悪役やるなら
「石集めて全員ぶっ潰す。俺が一から創造し直してやる。お前らの神は七日で世界を作ったらしいな、次は失敗しないようにもっと時間をかけてやるぜHAHAHA」
くらいのメンタルが欲しい。

「お前ら辛いだろうけど俺も辛い」を全開にしてくるサノスはもう完全に悪堕ちした元ヒーローのメンタルでラスボス感は微塵も感じなかった。

例えば「無作為に選ぶ」のシーンでパワーストーンでも使って全員参加型ロシアンルーレットで生き残り
「これが宇宙の意志だ」
とか言ってくれたらそれこそ不滅の忠誠を誓えたかもしれない。

映画最後の最後に「Thanos will return」というのは最早お決まりか。
シビルウォーの時?にスパイダーマンも同じように宣言されてホームカミングだったのでサノスも何か単作が出るのか、単純にIW2の事なのか。

万が一サノス単作なんて出てきたらサノスにはラストに辿り着いた土地で農業を営んでいてほしい。
サノスの宇宙作物の育て方・食べ方講座とかはちょっと見てみたい。


殆どサノスの事しか書いてないけど主人公だし仕方がない。
そのサノスは好きになれなかったけど6~7割方を占めるバトルシーンと溶鉱炉に火を入れる時のソー渾身の格好良いポーズは見応えがありとても楽しい映画だった。
すがり

すがり