てる

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのてるのレビュー・感想・評価

4.5
これは面白かった。
アベンジャーズの1、2を観て、面白いけどもなぁ、なんかいまいち、なんて感想を抱いたが、ようやく面白いと胸を張って言える作品が出てきた。
守るべきもののためにぶつかり合う男たち。カッコ良かった。何よりも設定が良い。今までとは真逆のポジションで対立するアイアンマンとキャプテンアメリカ。
エゴイストでナルシストのアイアンマンが調和を求めて、国連の指揮下に入ることに同意した。調和と正義のヒーローのキャプテンアメリカが友のために国に反旗を翻すことになる。
アベンジャーズの能力の威力は大きい。兵器として扱われるのは致し方ない。そう考えると国連の指揮下に入るのは正しい。実際にそんなスーパーパワーを持った人間がいたならそう扱われるのではないだろうか。
だが、彼らも人間で感情や思想がある。アベンジャーズの1で核兵器を都市に撃ちこんだ国連の判断に疑問を感じるのは当然で、その判断が正しいかは別として、意にそぐわない判断を押し付けられのは甚だ遺憾だろう。
一個人の判断で行使するには大きすぎるパワーを持った彼らを管理したいとする判断は当然だ。その個人が何かの拍子に人類の脅威になってしまってはたまったもんじゃない。アベンジャーズ2でそのようなことになっているわけだし。
でも、キャプテンの気持ちを慮るとそれが正しいとは言えなくなってしまう。キャプテンは人類の為に1度は命を落としかけた。そのキャプテンの力を改めて使いたいが為に、氷の中から引っ張り出し、兵器として使っている。周りには知っている人物はおらず、唯一生きていた想い人も息を引き取った。彼はヒーローとして戦う以外の道がなかった。生きていたのとは違う時代に連れていかれ、彼の性格を考えるとキャプテンアメリカとして兵器として生きる以外の道はなく、そのレールに乗っかるしかないのだ。それに嫌気が差しているのもわかる。
だから、バッキーの存在は掛け替えのないものなのだ。キャプテンアメリカではなく、スティーブとしていられる唯一の存在なのだ。その心の依り代を守りたいと思うのは当然だ。
結局、彼は今後、ヒーローでありながらテロリストとして扱われる。元々は軍人なわけだし、自分の行動の結末は良く理解していたことだろう。なんだかやりきれない気持ちになる。
ただ、個人的には、正義の軍人が想いの果てにテロリストになるってのは熱い展開だ。この先は知っているが、もう一度観てみたい気持ちになっている。マーベルの術中にまんまとはまっている。
てる

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