脳内金魚

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカの脳内金魚のレビュー・感想・評価

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今さらながらにMCUを見てみようシリーズ。

今作は『アベンジャーズ』の括りではなく、あくまで『キャプテン・アメリカ』シリーズなのね。

トニーもスティーブも、双方ともに一理ある。つまるところは、リアルで「世界大戦」を経験し、その際いかに「国連」(スティーブの場合は国際連盟だけれど)が機能しなかったかを知ってるかの違いに起因するのかな、と。
トニーもそれは理解はしている。けれど戦後生まれの彼は、力のある機関(組織)が監視や透明性がなければ、様々な大義名分やイデオロギーの下、いくらでも暴走することを知っている。また、現代ではその規制と透明性と言う不自由を受け入れることで、存続を認められ、ときに守られることも知っている。
そして、トニー(と言うか、戦後生まれの人間)にとって、「世界大戦」までは行かないにしても「戦争」が如何に割に合わないか知っているからこそ、今時、そう「今時」戦争を始めようなんて馬鹿はいないと、どこ高を括っている。
けれど、スティーブにとってはそれは正にリアルタイムに、つい先日体験したこと。世界大戦も、国家による民族虐殺もだ。想像し得ることは、現実に人間は起こす(起こした)ことを知っている。その点で、実はトニーの方が夢想家であり、人間に対する理想が強いのかなと思った。
多分、スティーブに地続きの体験があれば、トニーといいリーダーシップを取っていけたのかもな。やはり、WWⅡから現代にいきなり飛んだスティーブには、あまりに世界大戦の記憶が生々しいものであり、軍や国家と言うものも知っている。だから、遅かれ早かれふたりの対立は訪れたのだろう。

ここに来ての、アントマンやブラックパンサーなどの新規キャラ参戦と言うMCUの商業路線の可否はともかく、話は単純な勧善懲悪やヒーロー譚で収まらないところが面白かった。
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