KnightsofOdessa

アベンジャーズ/エンドゲームのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

5.0
※鑑賞後にお読みください(私の場合全部のレビューに言えるけどね!)
[それでも帰らなかった者たちへ、或いは"エモさ"の映画]

正直なところ、映画単体の出来としてはそこまでいい作品ではないというか、私は雑な理論で世界線をめちゃくちゃにするタイムトラベルものが大嫌いなので、多分嫌いな部類に属する映画だとは思う。しかし、10年前に劇場で観て非常につまらなかった『アイアンマン』から派生して、なぜか劇場で観て浅野忠信のセリフの少なさに爆笑した『マイティ・ソー』、全く印象に残っていない『キャプテン・アメリカ』、結局核爆弾で決着を付けた『アベンジャーズ』、しょぼい理由で敵になった科学者に爆笑した『アイアンマン3』、ヘリキャリアを無駄に上げて落としただけの『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、懐メロを使っただけでオジサマをファンに引き込もうとした『GotG』、漸くオルセンお姉様が登場した『アベンジャーズ/AoU』、丸顔の敵が悪役になりきれていなかった『アントマン』、個人的にシリーズベストの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、更に"俺たち凸凹仲良しチームだぜ"というメッセージ性がひどくなった『GotG vol.2』、おんなじ文法で描かれた黒人・女性ヒーローの安い誕生譚『ブラックパンサー』『キャプテン・マーベル』、唐突に悪役が主人公になって小石を集めて世界を破壊した『アベンジャーズ/IW』、そして結局観なかった『インクレディブル・ハルク』『アイアンマン2』『マイティ・ソー/ダークワールド』『ドクター・ストレンジ』『スパイダーマン/ホームカミング』『マイティ・ソー/ラグナロク』『アントマン&ワスプ』の上にこの映画があると考えると、10年という長い歳月を掛けて、ここまで来たんだなあと、感慨深いものがある。

それこそ10年前は映画が好きになってすぐだったので、名作と呼ばれるような作品を色々観て感動していたし、『アベンジャーズ』公開は『ミスター・ノーバディ』に出会ってミニシアターを回り始めた頃だったし、『アベンジャーズ/AoU』公開は大学に入って天邪鬼を拗らせすぎた結果東欧映画を観ようと頑張っていた頃だったし、『アベンジャーズ/IW』公開はそろそろ交友関係を大学の外に出そうと思ってオフ会に参加してみたりFilmarksを始めたりした頃だった。そう考えると私の映画人生が、アベンジャーズにリンクしていたのかもしれない。残念ながら個人的にはサーガのどの作品にも心ときめいたことはなかったが、『ダークナイト』以降の悩めるヒーロー像を極限まで押し進めた記念碑的な映画群なんじゃないかと思っているし、一緒に成長できたことは光栄に思う。我々の世代にしか出来ないだろうから。そして、それぞれの世代にそういう映画があるだろうから、私もこの映画群は享受したい。とは云えファンでもなんでもないので、何色の石ころがどんなパワー持ってていつ誰が持ってたとか未だに全然分かっていないし、今後分かる気もしないんだけどね。

さて、本作品の話に戻ると、やっぱり何度考え直してもエモさで押し切ってぶっちぎりの優勝を飾った感じの映画だと思う。確かにレユニオンのテンションぶち上がり具合は異常で、私もマジで泣いてた。しかし、出来としては個人にスポットの当たらなかった『アベンジャーズ/IW』よりオリジナルメンバー&生き残り(特にネビュラ)にスポットが当たったって感じで、残りの人達は生還したメンバーも含めて新しいフェーズで語られたり或いはパラレルワールドとか勝手に展開して(ディズニーとか超やりそう~)また荒稼ぎするんでしょう。というか勧善懲悪ものだし新しいフェーズが発表されてる時点で全員生還くらいはネタバレじゃないでしょ。

一応今回で一区切りらしいけど、そんな簡単には終わらないと思うよ。だってディズニーだもん。スポットの当たってないキャラを中心にしたドラマなり映画なりをバンバン作って神話を語り継ぐとか言って金稼ぎに走るでしょ。だってディズニーだもん。作り上げた神話を勝手に壊すのは基本次の世代だからね。おい、ライアン・ジョンソン聞いてるか、あんたのことだぞ(あ、これもディズニーか)。

あと、ブリー・ラーソンがガントレット持ったときに女性アベンジャーズが全員整列したとこは胸熱だった。わざとらしいんだけど、わざとらしさが嫌いじゃない。いい演出だ。キャプテン・アメリカも黒人になったし、犠牲になるナターシャと残されるバートンとか今回のポリコレは結構良かった。後半の大戦闘にもうちょい時間を割いても良かったんじゃないかとは思うが、全体としては満足。エモさに負けたぜ!というか勝てるはずがないぜ!
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