スポック

家族の波紋のスポックのレビュー・感想・評価

家族の波紋(2010年製作の映画)
2.5
イギリスの貴族?の末裔らしき裕福な家族が、快適でなさそうな荒涼とした別荘で過ごす寒々とした2週間の家族休暇。
金と時間が有り余り過ぎて、人生を持て余しているエグゼクティブ家族の薄っぺらい関係。
生きているのが辛くなるような、庶民なら望まない寒々とした地方にエグゼクティブの究極の心意気を象徴するような別荘を構え、寒々とした家族関係を確認するように時間を過ごす。
父親は繰り返されてきたその冷たい時間を避けるように最後まで訪ねて来ない。
誰も望みもしない無意味な時間を過ごすために、高額であろう大型のヘリコプターで往復し、時間潰しで絵画を習うために画家を雇い、遠くから料理人を住み込みで雇う。
生きる指針のない長男は、世捨人のような画家から人生を教授してもらい、下々の象徴的な料理人に上から目線の独善的な同情心で接し、後進国のアフリカに何の志も信念も無しに性教育担当のボランティアに1年間の旅に出る。
特権意識の強い長女は、自分自身の恵まれた境遇にもかかわらず常に不幸そうで攻撃的でイライラしている。しかしこの庶民離れした状況にイライラする長女が一番まともなのかもしれない。
全編に渡り音楽も無く、時折台詞の無い無言の時間がワンフレームの定点カメラで撮影される不思議な映画。
俳優さん達の難しそうな役作りにある意味で感心した。