このレビューはネタバレを含みます
ストーリーの構築がとても素晴らしい。
徐々に徐々に謎が溶けていくようにできている点が秀逸で最後まで見て満足感を味わえる作品。
伏線が最後の最後で回収されるわけですが、黒幕がいまいち表に出てこず、本来この黒幕が大きな鍵を握っているはずなのに!と思ってしまう。
時間移動を繰り返すと認知症が起こるだとか精神の病が進行するというのはどうも後付っぽい。
この黒幕の暗躍がばれないようにするための植え付けで、肉体ダメージもわざと主人公用の装置にはつけてるんじゃないかなって気がします。(黒幕はさらりとタイムスリップしてきているため)
加えて50年以上さかのぼったらだめよってのもかなり嘘くさい。
50年前こそ本当の真実が隠されている年なんだろうなって無駄な考察に入ってしまうがそのへんの描写は一切ないので、見終わった人とお話するのが一番。
ただ、最終的にはこの主人公、自分自身以外には誰にも愛されていないということになるのがとても悲しい。
誰からも愛されず自分自身だけで生まれて自分自身に殺される。
作中にもあった自分を食べる無限蛇状態。
もうなんというか救いのない環境下に黒幕の手により置かれてしまった主人公。
でも、それならば、女性時代も男性時代も怒りや悲しみについてもうちょっと起伏が描かれていても良かったような気がしますが、それすらも黒幕が疑問さえも抱かないように細かく調整したのかなって感じもします。