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プリデスティネーションのYYamadaのレビュー・感想・評価

プリデスティネーション(2014年製作の映画)
4.1
【タイム・パラドックス佳作選】

◆パラドックス発生の方法
〈タイム・トラベル〉
 →「時間」と「場所」を指定可能なバイオリン・ケース調の移転装置を携行

〈見処〉
本作のレビューチェックは
鑑賞後が望ましい。

①パラドックス映画の「到達点」
・『プリデスティネーション』(Predestination=「宿命」)は、2014年に製作されたオーストラリア発のSF映画。
・ 「SF界の長老」と称されたロバート・A・ハインライン(1907- 1988)による、わずか30頁にも満たない短編小説『輪廻の蛇』(1959)を原作とする本作を『デイブレイカー』のマイケル&ピーター・スピエリッグ兄弟が映像化。
・本作の舞台は1970年のニューヨーク。ある流れ者によって不遇の道を歩まされたという青年の身の上話を聞いた酒場のバーテンダー(イーサン・ホーク)は、自分が未来からやってきた時空警察のエージェントであることを明かす。
・バーテンダーは、1963年にタイムスリップし、青年の人生を狂わせた流れ者への復讐を提案。併せて青年をエージェントに勧誘する…。
・本作は製作費500万ドルの低予算作品ながら、劇場公開時の世界興収はわずか480万ドルの「赤字作品」ながら、ネット配信サービスを通じて、独創的なストーリーに対してカルト人気が高まった作品。日本においても、2020年のコロナ禍「ステイホーム」期間に大きく鑑賞者数を伸ばした。

②名無しの権兵衛
・本作の主要登場人物、ジョンとジェーンは、日本語の「名無しの権兵衛」に該当する英語「John Doe」(女性の場合は「Jane Doe」)を出自としている。
・本作における2人の数奇な運命には、相応しいネーミングと言える。

③結び…本作の見処は?
予想の遥か右上を越えていったストーリー展開。最後の「ヤられた」感はカイザーソゼ以上のインパクトがあった。

◎:「卵か先か?ニワトリが先か?」ありそうでなかった輪廻に伴うストーリーは、タイム・パラドックス作品のある種の到達点を迎えたと言っても過言ではない、素晴らしい脚本。
○: 「時空警察」とは名ばかりで、時間移動の視覚効果はほぼ無し。誰でも撮影できそうな映像でも、これだけ鑑賞者を釘付けにする作品は多くない。
○: タイムトラベルの原理や「時空警察」にて救われた命による並行世界の発生など、多くの作品で語られている要素を一切排除し、ジョンとジェーンの物語に特化している点が潔い。
▲: 日本公開時のキャッチ「時空へ逃げても、追詰める」…そんなシーンあったっけ??
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